改正児童福祉法が成立しました

児童虐待への対応強化などを柱とした児童福祉法及び関連法の改正が2025年4月18日に可決、成立しました(改正法案の概要説明は≪コチラ≫です。)。主な改正点を取りあげます。

【保育所等の職員による虐待についての通報義務の新設】これまでも、児童養護施設などの職員による虐待を発見したときの通報義務の規定はありました。しかし、保育所、認定こども園、幼稚園、児童館等には法律上の規定はありませんでした。ところが、保育所等の職員による虐待等が相次ぎました。そこで、保育所等の職員による虐待を受けたと思われる子どもを発見した者に対し、地方自治体への通報義務を課することにしました。

【一時保護委託先の登録制度の新設】児相の一時保護施設については、2022年の児童福祉法の改正を受けて「一時保護施設の設備及び運営に関する基準」が2024年に定められました(関連記事は≪コチラ≫です。)。ところが、一時保護委託先については基準がなく、児童相談所長又は都道府県知事が「適当と認める者」への委託が可能となっており、その質の担保が課題でした。そこで、児童養護施設・里親の外に、都道府県知事の登録を受けた者に一時保護委託することができることとしました。都道府県知事は、登録の基準を定めた条例を作ることになります。

【児童虐待を行った疑いのある保護者について、一時保護中の子どもとの面会通信を制限することができる制度の新設】これまでは、児童虐待を行った保護者についてのみ面会通信制限ができることが法律で規定されていました。児童虐待が行われた疑いがある段階については、その対象外でした。こうした中で、児相では、疑いがある段階の場合に、行政指導として面会通信制限を行ったケースがありましたが、これは妥当ではありません。そこで、一時保護中の子どもに対し児童虐待を行った疑いがある場合について、一定の要件があるときは、児相は面会通信の制限を行えることとしました(関連記事は≪コチラ≫です。)。

【地域限定保育士の一般的制度化】保育士の人手不足に対応するため、国家戦略特区で認めていた「地域限定保育士」を一般制度化して全国に広げます。特定の都道府県又は指定都市においてのみ、通常の保育士と同様に業務を行うことができる資格を児童福祉法上に創設しました。登録後3年が経過し一定の勤務経験を積めば、通常の保育士として登録を受けられるようにします。

【保育士・保育所支援センターの法定化】保育人材の確保は恒常的な課題となっています。人材確保のため、保育に関する広報、職業紹介、研修、助言等の業務を行う保育士・保育所支援センターを都道府県が整備する旨の規定を設けました。