愛知県豊明市:スマホの使用時間の「目安」を1日2時間とする条例を可決
愛知県豊明市で「スマホ1日2時間条例(正式名:豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例)」が2025年9月22日成立しました。施行は10月1日です(豊明市の説明は≪コチラ≫です。)。この条例はSNSで話題になりましたのでHPでも取り上げてみます。なお、市の資料からは子どもの意見を聴いたのか不明ですが、子どもの意見表明権を保障するためには、子どもの意見を聴取する手続が求められます。
【条例の主な内容】①スマホが生活に不可欠なことを前提として制定しました。②余暇時間(仕事や勉強等以外の時間)におけるスマホ使用は1日2時間以内を目安とします(ただし、市は、生活を見つめなおしたうえで、睡眠時間や家族との会話などに支障がないのであれば、1日3時間や4時間の使用も問題はない、と条例の外で説明しています。)。③夜間については、小学生以下は夜9時、中学生以上は夜10時を目安として、それ以降の使用を控えるよう市や保護者は促します。④対象は、子どもを含めた豊明市民。市内の学校に通う市外の子どもも含みます。⑤違反しても罰則はありません。処分されることもありません。⑥条例には、「・・しなければならない。」「・・努めなければならない。」という言葉はありません。時間をどう使うかは市民各自の自由であることを前提として、スマホの使用を1日2時間以内とすることも市や保護者が「促す」にとどめる内容となっています。⑦スマホには、タブレットやゲーム機器、パソコンも含みます。
【なぜこのような条例を作ったのでしょうか?】条例の前文には、次のような条例制定の理由が書かれています。「ゲーム、SNS、動画の視聴や配信等の過度な使用により、睡眠時間の減少による生活リズムの乱れ等、健康面や社会生活で影響を及ぼすほか、家族間の対話時間が短くなる等、親子関係や家庭環境にも影響を与えるなど、特に心身が成長期にある子どもにとっては、乳幼児期も含め健全な育成を阻害してしまうおそれがあります。」スマホの過剰使用が子どもに与える悪影響を懸念する立法理由については理解できます(たとえば、関連記事は≪コチラ≫です。)。
【SNSなどでの主な批判】①個人の自由を制限してはいけない。②スマホの使用時間は家庭のしつけで決めることである。③2時間は厳しい。④ルールが曖昧。⑤守らない人が多いから、効果は期待できない。⑤学校にも家庭にも居場所がない子どもにとってはスマホが居場所になっている。使う時間が制限されれば居場所がなくなることにつながらないか。⑥条例にはよほどの科学的根拠が必要だが、スマホの使用時間と睡眠時間の減少との関係がデータで立証されていない。
【それでは】この条例には、市民に義務を課するような法的効果は全くといってよいほどありません。スマホの使用を家族や学校、社会で話し合ったり、ルールを作ったりする契機になることが期待されます。そうであれば、時間の目安を示すよりも、スマホの使用や過剰使用について考えることを促すような内容にすることも考えられるとする有識者のご意見も参考になります。