子育て世帯訪問支援事業、長野県内の市町村の実施率は26%でした
子育て世帯訪問支援事業は、2022年の児童福祉法の改正により導入され、2024年4月1日から施行されました(児童福祉法6条の3第19項)。訪問支援員が、家事や子育てに不安・負担を抱えた子育て家庭、妊産婦、ヤングケアラー等がいる家庭を訪問して、不安や悩みを傾聴するとともに、家事・子育ての支援を実施することにより、家庭や養育環境を整え、虐待リスク等の高まりを未然に防ぎます。市町村に実施の努力義務が課せられました。こども家庭庁からは、2024年3月30日付のガイドラインが公表されています(ガイドラインは≪コチラ≫です。)。
この事業の目標は、単なる家事・育児の手伝いによる一時的な負担解消にとどまりません。家事・子育て支援を通して、支援対象の家庭が自立して生活できるように支援の対象者の環境を整えていくことが最終的な目標像であるとしています。そのためには、不安や悩みを抱えた家庭が信頼して相談し支援を依頼できるよう、訪問支援員は家庭が抱える不安や悩みを傾聴する必要があります。親子等に寄り添いサポートをする支援であることを踏まえ、家事・子育ての一方的な指導や、訪問支援員自身の価値観をおしつけ、子どもや保護者または妊婦の価値観を否定するのではなく、その立場に寄り添い、その状況や心情を理解し、支援を行うよう努めるものとされています。
訪問支援員が具体的にやるべきことは、①家事支援(食事準備、洗濯、掃除、買い物の代行やサポート等)、②育児・養育支援(育児のサポート、保育所等の送迎、宿題の見守り、外出時の補助等)、③子育て等に関する不安や悩みの傾聴、相談、助言、④母子保健施策や子育て支援施策等に関する情報提供、⑤支援対象者や子どもの状況・養育環境の把握、市町村への報告が挙げられています。
支援対象者には次のような者が含まれます。①保護者に監護させることが不適当であると認められる子どもの保護者及びそれに該当するおそれのある保護者。②食事、生活習慣等について不適切な養育状態にある子ども等、保護者の養育を支援することが特に必要と認めらえる子どもの保護者及びそれに該当するおそれのある保護者。③若年妊婦等、出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦及びそれに該当するおそれのある妊婦。④その他、事業の目的に鑑みて、市町村が本事業による支援が必要と認める者(支援を要するヤングケアラー等を含む。)。
2024年度における実施市町村数と実施率が都道府県別に公表されています。それによると、長野県は、県内77自治体のうちの20自治体が実施しており、実施率は26.0%でした。全国では、1741自治体のうちの692自治体が実施しており、平均実施率は39.7%でした(全国状況は≪コチラ≫です。)。