子ども乗せ自転車で幼児の太もも骨折が多発。日本小児救急医学会が警告

自転車は便利な乗り物です。子どもがいる家庭では、自転車の後部に幼児用座席を取りつけ、そこに幼児を乗せて走行している人が多いでしょう。特に、車での送迎が制限されることが多い都市部を中心に、他に代替し難い重要な移動手段となっています。しかし、重大な事故につながる危険をはらんでいます。

日本小児救急医学会は、2025年8月12日、公式X(旧ツイッター)アカウント(@jsepsns2024)で、自転車の後部座席に乗せた幼児の足が道路上のポールなどの障害物に接触して、太ももを骨折する事故が増えていると警告しました。どのような事故でしょうか。後部の幼児用座席に乗せられた幼児が足を投げ出してブラブラさせているような場合に、その足が道路上の電柱や標識の支柱、ガードレールなどにぶつかり、太ももが開くような形で骨折する事故が増えているというのです。「足はフットレストに置き、外にはみ出さないように」「障害物がある狭い場所では、自転車から降りるかゆっくり通過する」といった対策を推奨するとともに、子どもの体重や年齢が適用範囲内か、幼児座席のSG基準を確認するよう促しています。

Xの投稿記事は、国民生活センターの2024年5月29日付の資料を引用しています(資料は≪コチラ≫です。)。国民生活センターは、同センターと共同して消費者事故の情報を収集している医療機関ネットワークに加入している32の医療機関に寄せられた事故事例を分析しました。自転車後部に子どもを同乗させて走行していた際の事故事例は、2019年度以降の5年間で207件寄せられていました。事故原因をみると、スポーク外傷(約4割。自転車に乗せた子どもの足が車輪に巻き込まれる事故)、転倒(約3割)、身体のはみ出し(約2割)などの事故が発生していました。特に、身体のはみ出しによる事故では、半数ほどが骨折を伴っており、他の事故に比べて重篤なけがを負う危険性の高い事故でした。

事故事例が紹介されています。「右折する際に車体がふらついてポールに子どもの右膝が接触し、股関節を開く形で受傷した。右大腿骨骨幹部骨折。約2カ月間入院(2023年2月事故、6歳、男児)」「点字ブロックを避けるため歩道の端を走行していた際に、子どもの右大腿が電柱に接触して受傷した。右大腿骨骨幹部骨折で手術を行った。約1カ月間入院(2022年6月事故、7歳、女児)」

大腿骨骨折は、けがの痛みはもちろん、思いどおりに動けず、幼稚園や保育園などに通えない状態が長く続くことで子どもの精神的負担も大きいほか、保護者も、入院中の面会や退院後の介助で大きな負担を強いられます。便利な移動手段だからこそ油断せずに、安全な乗せ方と走行を心がけることが大切です。