子どもの転落死の7割超が窓・ベランダ周辺の家具などを足がかりにして発生。消費者庁の報告から

子どもが住宅の窓やベランダから転落する事故が相次いで発生しています。このような事態を受けて、消費者庁・消費者安全調査委員会は、2025年6月24日、原因と再発防止策をまとめた調査報告書を公表しました(概要版は≪コチラ≫、全体版は≪コチラ≫、関連記事は≪コチラ≫です。)。

1993~2024年の32年間に、6歳未満の乳幼児の住宅の窓やベランダからの転落死亡事故が134件発生していました。転落場所は、窓が42件、ベランダが92件でした。窓からの転落は1歳の事故が最も多く(42件中12件)、ベランダからの転落は3歳の事故が最も多いという結果でした(92件中41件)。窓の鍵が開いていたと確認されたケースは43件で、残りの91件は施錠していた鍵を子どもが開けた可能性がありました。

事故発生時における保護者の在宅状況は、在宅が134件中65件、家族の送迎・ごみ出しなど短時間の外出を含めて不在が55件でした(残り14件は不明)。保護者が在宅していても、子どもから目を離した瞬間に子どもは事故に遭っていました。保護者は転落を防ぐ安全策を確実に施し、常に子どもの動静に注意を払う必要があります。

子どもがよじ登るための足がかりが付近にあったケースが99件で、7割を超えました。どのような物品が足がかりとなったか考察しました。窓の場合は、転落前から窓付近に置かれていたベッド・ソファ・机・タンスなどでした。子どもが窓付近まで椅子やクッションを持ち運んだ可能性がある事故もありました。ベランダの場合は、転落前からベランダに置かれていたエアコンの室外機・プランター・椅子などでした。室内にあった椅子や踏み台を子どもがベランダに持ち運んだと考えられる事故もありました。

消費者安全調査委員会は次のような再発防止策を示しています。【国土交通大臣に対し】子どもの手の届かない高さに補助錠を設置するなど、国土交通省「子育てに配慮した住宅と居住環境に関するガイドライン(改訂版)」(2025年3月公表)に準拠した住宅の新築・改修に支援をすること。【経済産業大臣に対し】転落防止のための新製品の研究・開発を業界団体に働きかけること。【こども家庭庁長官に対し】家具や室外機が子どもの足がかりとなることを防ぐなどの転落事故防止策を保護者に周知啓発すること。

  • 報告書は幼児の特性をまとめています。【身体特性】幼児の垂直到達距離(どこまで手が届くか)は、性別や個人差がありますが、5歳の男児で142.8センチ程度になります。足がかりに乗ると、さらに高所まで手が届くことになります。また、幼児は身長に比べて頭部が大きく重心が高いので、頭部から転落する可能性が大きいです。【行動特性】幼児には、「危険を理解する判断力の欠如」「予測不能な行動によって、大人には予測できないような危険状態に入る」「限界を試す」などの行動特性があるとされます。また、「運動機能の発達とともにいろいろなことができるようになる」一方で、「様々な事故に遭うおそれ」も拡大します。