子どもにとって安全な住宅とは。国交省のガイドラインから
国交省は、住宅全般にわたる諸施策を担当しています。住宅は、子どもや妊婦に安全でなければなりません。しかし、子ども、特に乳幼児の家庭内事故の発生割合は高く、住宅には子どもにとって様々な危険がひそんでいます。また、足元が見にくい妊婦や幼児を抱っこ・おんぶした親にとっても危険があります。住宅での子どもや妊婦の安全のため、住宅での事故を防止する配慮が求められます。国交省は、2025年3月3日、2018年に作成した「子育てに配慮した住宅と居住環境に関するガイドライン」の改訂版を公表しました。子どもに安全な住宅の工夫や着目点が豊富に取り上げられています。ここではその一部を紹介します(プレスリリースは≪コチラ≫、本編は≪コチラA≫≪コチラB≫です。)。
【衝突による事故を防止する】生後10か月頃になると伝え歩きを始め、1歳頃からよちよち歩きを始めます。その後、成長につれ運動機能が飛躍的にのび、住宅内や廊下を走り回ることがふえます。これに伴い、壁・柱や家具、ドアなどに衝突する事故が発生する危険があります。そこで、壁・柱、造りつけ家具、ドアなどに、衝突事故の防止や万一の衝突時のリスクを減らすための工夫が求められます。壁の出隅(ですみ、外に出っぱった角)や柱、造りつけ家具の角はR加工などの丸い形状にし、ベビーガードクッションを取り付けます。面積の大きい透明なガラス面は、ガラスであることが分かるように張り紙等をし、飛散防止フィルムを貼ります。
【転倒による事故を防止する】小さな子どもは床面のわずかな段差を認識しにくく、また妊婦や幼児を抱っこ・おんぶした親は足元が見にくいため、段差につまずき転倒する危険があります。水に濡れて滑りやすい床面も乳幼児や妊婦には転倒の危険があります。そこで、床面や手すりなど、住宅の各所に転倒事故の防止や万一の転倒時のリスクを減らすための工夫が求められます。居室間や玄関・浴室・バルコニーの出入り口の段差はできる限り小さくします。床は滑りにくい材料を使用し、滑り止めマットを敷き、滑り止めシールを貼ります。
【転落による事故を防止する】ひとり歩きができるようになる幼児前期の子どもや、好奇心が旺盛な幼児後期の子どもは、バルコニーや高所の窓・廊下から転落し重大事故に至る危険があります。そこで、バルコニー・窓・廊下の手すりには、転落事故を防止するための工夫が求められます。バルコニーや廊下に転落防止のために設置される手すりは、転落の防止に効果的な構造(足がかりのない構造、手すりの高さ、手すりの間隔、手すりと床面との隙間など)とします。バルコニーに面する窓は子どもが勝手に入れない構造の錠を付けます(ダイヤル錠、補助錠の設置など)。