国際NGO調査:経済的に苦しい世帯の乳幼児の子育ては?
国際NGO「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン」は、乳幼児(3歳以下の子ども)がいる非課税世帯・児童扶養手当受給世帯などを対象に、2024年6~8月アンケート調査を行い、全国の480世帯から回答を得ました。調査目的は、乳幼児を育てる世帯の生活状況を調べて、経済的負担感・悩み・求める支援などを把握することでした。その結果が2025年2月12日公表されました(概要は≪コチラ≫、報告書は≪コチラ≫です。)。
セーブ・ザ・チルドレンは次のように述べています。「子どもの貧困問題を解決するためには、より年齢が低いうちからの介入が最も効果的であることは、これまで海外を中心としたさまざまな研究から明らかになっています。しかしながら、日本国内では子どもの貧困問題の調査・研究の多くが学齢期以降の子どもを対象としており、乳幼児期に焦点をあてた研究は多くありません。本調査は、非課税世帯や児童扶養手当受給世帯など、経済的に困難な状況にある世帯の乳幼児の生活の実態について明らかにし、必要な支援についての提言をまとめたものです。」
0~3歳までの子育てで経済的に一番大変だった時期は、39.0%が「出産直後~産後半年」と答えました。子どもが保育所などに通い始めた時期は「生後6か月以降~11か月」が最多でしたので、働くことが難しい産後半年間の生活が経済的に最も厳しいことになります。経済的に頼れる人の有無を質問すると、71.9%が配偶者・パートナー以外に頼れる人が「いない」と回答、「家族・親族」と回答したのは 26.3%でした。周囲に経済的に頼れる人が少なく、妊娠・出産・産後の大事な時期に経済的不安を感じながら乗り切らなくてはならない状況が示唆されます。
39.6%が、経済的な理由により粉ミルクを買えなかった経験が「ある」と答えました。その際の対応として「粉ミルクを薄めて飲ませた」が41.1%と最多で、次いで「粉ミルクをあげる量を減らした」が27.9%、「粉ミルクをあげる回数を減らした」が 26.8%でした。49.2%が、経済的な理由により紙おむつが買えなかった経験が「ある」と答えました。その際の対応として74.6%が「おむつを替える回数を少なくした」と答えました。希望する支援として、「定期的な紙おむつやおしりふき、離乳食などの赤ちゃんに必要な消耗品の受け取り」との回答が86.5%で最多でした。
子育て中の孤独感を聞いたところ、孤独感を感じることが「よくある」が34.8%、「時々ある」が37.5%であり、これらを合わせると約 7 割が孤独感を感じていました。また、49.0%が「経済的な理由から適切な養育ができないのではないかと思ったことがある」と答えました。乳幼児健診時に子どもの健康や発達以外の不安や悩み事について、24.6%が「相談しようと思わなかった」と回答、また18.1%が「相談したが解決しなかった、気持ちが楽になることはなかった」、13.8%が「あまり相談できなかった」、6.5%が「まったく相談できなかった」と答えました。6 割以上が相談について困難や心理的ハードルを抱えていました。
提言として「経済的に困難を抱える世帯に紙おむつや必要に応じて粉ミルクなどの支援を」「紙おむつなどの支給と自治体担当者の訪問をセットにし、定期的な見守りを」「母子保健と児童福祉が連携し、相談しやすい対応の強化を」「特に支援が必要な世帯に保育所などの優先的利用を」の4点を挙げています。