国際NGOの3万人意識調査:5年前の前回調査時に比べ、子どもの貧困の認知度も、子どもの権利の関心度もいずれも低下
国際NGO「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン」は、子どもの貧困と子どもの権利についての国内最大規模の3万人意識調査を実施し、2024年11月28日、その結果を公表しました(「3万人アンケートから見る子どもの貧困と子どもの権利に関する意識2024」は≪コチラ≫です。)。調査は、全国の15歳~80歳代以上の3万人(内訳は、15歳~17歳の子ども2163人、18歳以上の大人2万7837人)を対象に、2024年7月24日~31日、Webアンケートで実施されました。同様の調査は2019年にも行われており、5年前の調査結果と比較すると問題点が浮き上がってきます。
報告書には、調査結果の要点がハイライトとして掲げられています。
(出典 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン「3万人アンケートから見る子どもの貧困と子どもの権利に関する意識2024」 3・13ページ)
具体的に見ていきましょう。2019年調査時と比べ、子どもの貧困の実態について「聞いたことがない」と回答した大人の割合は28.8%から48.9%となり、20.1ポイントも増加しました。ほぼ半数の大人が子どもの貧困の実態を知っていない、というのです。また、子どもでも31.0%から43.7%となり、12.7ポイントも増加しました。わが国の子どもの相対的貧困率は2021年時点で11.5%(厚労省2023年に公表)です。特に、ひとり親世帯の子どもの半数近くが相対的貧困下にあります(関連記事は≪コチラ≫です。)。子どもの貧困問題は解消したわけでもなく、依然として対策が必要不可欠です。しかるに、子どもの貧困への社会の関心の低下が進んでいることが明らかになりました。
子どもの貧困問題に「とても関心がある」「まあまあ関心がある」と回答した割合は、子ども60.2%、大人45.8%でした。子どもの貧困問題は解決すべき社会問題として「とても優先度が高い」「まあまあ優先度が高い」と回答した割合は、子ども78.2%、大人63.7%でした。大人の方が子どもよりも10ポイント以上も低く、大人はこの問題に関心を持たなければなりません。
子どもの権利条約の中で中核をなし、こども基本法でも重視されている子どもの意見表明権(自分の意見を他の人に聴かれる権利)を大切と考える子どもは40.2%だったのに対し、大人は25.9%でした。意見表明権が守られていないと子どもの27.6%が考える一方、大人は18.1%で、8ポイント以上の差が出ました。さらに、2019年調査時と比べ、子どもの権利について、そもそも「考えたことがない」と回答した大人の割合は、13.3%から19.8%と6ポイント以上も増加しました。
社会全体の認知や周知度が低い中で、国やこども家庭庁が子どもの貧困や子どもの権利について十分に普及啓発していないことが示されました。以下は、「あなたはどのような時に子どもの権利が守られていないと感じますか?」という問いに対する子どもの意見です。
(出典 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン「3万人アンケートから見る子どもの貧困と子どもの権利に関する意識2024」 19ページ)