厚生労働白書:介護しながら働いている人の割合は増加傾向
厚労省は、2025年7月29日、「令和7年版 厚生労働白書」を公表しました。白書の中から、家庭の様子の一部を取り上げてみます(概要版は≪コチラ≫、全体版は≪コチラ≫です。)。
【男性の育児休業取得率と家事関連時間】育児休業取得率について、女性は8割台で推移しています。しかし、男性は上昇傾向にあるものの、2023年においては30.1%にとどまっており、女性に比べ低い水準でした。政府は、2025年には50%、2030年には85%の目標を掲げています。育児休業の取得期間は、女性は9割以上が6か月以上であるのに対し、男性は徐々に取得期間が延びているとはいえ、約4割が2週間未満であり、依然として女性に比べて短期間の取得が多い結果でした。また、6歳未満の子どもがいる世帯で、夫も妻も雇用されている場合の1日当たりの家事関連時間を比較すると、2021年において、妻は6時間32分であるのに対して、夫は1時間57分であり、3.4倍の差がありました。しかし、近年、その差は縮小傾向にあるとしています。
【男女間賃金格差】労働基準法は「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。」と明記し、男女同一賃金の原則を規定しています。しかし、2024年の統計では、男性の給与額を100とした場合、女性の一般労働者の給与額は75.8、そのうち正社員・正職員だけに限った給与額は78.1であり、男女間の賃金にはいまだに大きな格差が存在しています。もっとも、その格差は長期的にはわずかながら縮小傾向にあるとしています。
【非正規労働者は増加傾向、不本意非正規労働者は減少傾向】パート・アルバイト・派遣社員・契約社員・嘱託労働者を非正規労働者といいます。非正規労働者を見てみると、2010年以降増加が続き、2020年、2021年は減少しましたが、2022年以降は再び増加に転じました。2024年には、雇用者に占める割合は36.8%でした。一方、正規雇用を希望しながらそれがかなわず非正規雇用で働く者(不本意非正規労働者)の割合は、年々減少しており、2024年においては、男女とも100万人を下回りました。割合については、2013年に男性で30.6%、女性で14.1%でしたが、2024年には男性13.7%、女性6.5%となりました。
【働きながら介護をしている人は増加傾向】介護をしている人のうち、働いている人の数を調べました。2022年には、15歳以上の人で介護をしている人は約629万人いました。そのうち58.0%が有業でした。近年、介護をしている人に占める有業者の割合は増加傾向にあります。