厚労省;国公立を含む一般病院の7割超が赤字
厚労省は、全国の病院・一般診療所・歯科診療所・保険薬局における経営実態を明らかにし、社会保険診療報酬に関する基礎資料を整備することを目的として、医療経済実態調査を実施しています。調査は、診療報酬改定に合わせて、2年に一回実施されています。厚労省は、2025年11月26日に開かれた中央社会保険医療協議会で「第25回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告」を公表しました。今回の調査では、2023年度と2024年度における損益状況や給与等について、全国の病院1167カ所、診療所2232カ所などから回答を得ました(統計は≪コチラ≫です。)。
国公立を含む一般病院(精神科を除く。)の2024年度の利益率は7.3%の赤字で、前年度から0.2ポイント改善したものの、赤字が続いています。補助金を含む経常収益率も3.9%の赤字でした。病院の種別ごとに見ると、一般病院のうち、公立病院は18.5%、国立病院は5.4%、医療法人が運営する民間病院は1%と、いずれも赤字でした。調査を基にした厚労省の分析によると、一般病院は72.7%が赤字となりました。
一般病院の医療従事者の平均年収は、病院長が約2587万円(前年度比2.1%減)、医師が約1484万円(同0.2%増)、歯科医師が約1291万円(同4.3%増)、看護職員が約540万円(同2.4%増)、看護補助職員が約344万円(同3.6%増)などでした。
医療機関の収入に直結する診療報酬は公定価格で決まっています。近年の物価や人件費の高騰を転嫁できないため、赤字につながったとみられます。診療報酬は、この実態調査を基に改定率などの議論が本格化します。2026年度の改定では、医療機関の経営が逼迫する要因となっている急激な物価や人件費の高騰への対応が焦点で、日本医師会や医療関係団体は大幅な引き上げを求めています。病院は、子どもたちや私たちの命と健康を守る大切な社会インフラです。経営が困難で十分な医療提供ができなくなるような事態は回避されなければなりません(関連記事は≪コチラA≫≪コチラB≫です。)。
