厚労省の賃金引上げの実態調査:民間の医療・福祉分野の従事者の賃上げは全産業の中で最低
厚労省は、2025年10月14日、「令和7(2025)年賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表しました。この調査は、常用労働者100人以上を雇用する会社組織の民営企業を対象にして、賃金の改定額や改定率などを明らかにすることを目的に、毎年7月~8月に行われています。今回の調査では、3643社を抽出して調査票を郵送し、1847社から有効回答を得ました(調査結果は≪コチラ≫です。)。
調査結果では、全部の産業を「建設業」「製造業」「医療、福祉」などの15分野に分けて、各産業分野の賃金の改定額と改定率をとりまとめました(改定額は賃上げの金額と、改定率は賃上げ率とほぼ同義です。)。
2025年の賃金の改定額が最低の産業は「医療、福祉」でした。2025年の全産業の改定額の平均は月額1万3601円でしたが、「医療、福祉」は月額5589円にすぎず、平均の半額にも達しませんでした。二番目に低い産業は「サービス業」の月額8621円でした。ちなみに最高の改定額は「建設業」の月額2万0724円でした。
2025年の賃金の改定率が最低だったのも「医療、福祉」でした。2025年の全産業の改定率の平均は4.4%でしたが、「医療、福祉」は2.3%でした。二番目に低い産業は「教育、学習支援業」の3.2%でした。ちなみに、最高の改定率は「鉱業,採石業,砂利採取業」の6.1%でした。
今回の統計からすると、「医療、福祉」の分野では賃上げが十分に行われていません。こうした事態が続けば「医療、福祉」分野の人材が失われて後退が進み、このことは私たちや子どもたちの生命や健康、福祉に悪影響を与える可能性があります。そうならないために医療従事者らの賃上げが図られるよう関心をもち注視していくことが重要です(日本看護協会の関連記事は≪コチラ≫です。)。
