厚労省の専門家会議:医師の処方箋なくても「緊急避妊薬」を薬局などで販売可能に。市民の運動実る
望まない妊娠、予期しない妊娠は、児童虐待や虐待死のみならず、社会からの孤立、経済的困難、学業の中断を含む教育的支援の打ち切りなど、さまざまな問題を引き起こすリスクをもっています。「緊急避妊薬」はアフターピルとも呼ばれ、性行為から72時間以内に服用すれば、80%以上の確率で妊娠を防げるとされています(100%ではありません。)。ところが、これまでの制度では、まず医療機関に行って診療を受けたうえで「緊急避妊薬」の処方箋をもらって、それをもって薬を購入する必要がありました。ハードルは高く、利用が著しく限定されていました。そのため、よりアクセスのしやすい方法での販売を求める声が多くの市民団体から強く上がっていました。
意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」について、厚労省の専門家会議(薬事審議会 要指導・一般用医薬品部会)は、2025年8月29日の夜、医師の処方箋がなくても薬局やドラッグストアで「緊急避妊薬」を購入できるようにする方針を了承しました(厚労省の資料は≪コチラ≫です。)。ただし、販売にあたっては、店舗での対面販売に限ります。そして、専門の研修を受けた薬剤師から薬についての説明を対面で受け、それを理解したうえで、早く服用することで薬の効果がより高まることなどから、薬剤師の面前で服用することを義務づける方針です。購入できる年齢に制限をもうけず、未成年者が購入する場合でも親の同意は不要とします。薬局で購入した薬を持ち帰って自宅で服用することなどはできず、他人のために代理で購入することもできません。対面での購入が義務づけられるため、オンラインでの購入もできません。
厚労省は今回了承された方針について、パブリックコメントなどを行ったうえで、今後、正式に承認することにしています。厚労省によると、一般的に正式な承認までは3~4か月かかるケースが多いということで、来年春以降にも薬局などで処方箋がなくても購入できるようになる可能性があります。ただ、薬局などでの販売価格はまだ決まっていません。国が行っている試験販売では、およそ7000円~9000円でしたが、今後、製薬会社が薬局などとやりとりをして値段を決めていくことになります。