厚労省の専門委員会公表:児童虐待による死亡事例の検証結果
厚労省の専門委員会(正式名称は、社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会)は、2005年から、毎年一回、前々年度の児童虐待による死亡事例を検証し、その詳細な結果を公表しています。最新のものは、2022年9月に公表された第18次報告で、2020年4月1日から2021年3月31日までの1年間を対象にしています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000190801_00006.html
それによりますと、心中以外の虐待死は47例・49人、心中による虐待死は19例・28人、合計では66例・77人にも及びました。
心中以外の虐待死の子どもの年齢は0歳児が31例・32人で65.3%を占め、さらに月齢0ヶ月児は15例・16人で、その半数を占めています。加害の動機としては「子どもの世話・養育をする余裕がない」「泣きやまないことにいらだった」が上位を占めました。妊婦健康診断未受診のケースが19例・19人、3~4ヶ月児童健康診断の未受診者は7人でした。予期しない妊娠・計画していない妊娠のケースが14例・14人いました。関係機関の関与があったかどうかについては、市区町村の関与ありが5例、児相と市区町村の関与ありが11例、その他の関係機関を含めた関与ありが37例で、0ヶ月児16人のうち関係機関の関与なしが5人でした。
児童虐待によって命を落とす子どもが毎年70人以上もいること(2020年には128人にも達しました)、しかも月齢0ヶ月児が大勢含まれていること、このようなことを放置してよいはずがありません。
このような深刻な状況をもとに、妊娠期から支援を必要とする保護者への支援の強化、乳幼児健康診断未受診等や居所の実態が把握できない子ども・家庭に対する虐待予防の視点をもった支援の実施、きょうだいへの虐待が見られた家庭への支援、精神疾患等により養育支援が必要と判断される保護者への対応などが提言されています。また、予期しない妊娠のケースが見られることから、妊娠や出産、生命の起源などを科学的に扱う性教育にも取り組む必要があります。