公益財産法人:中学生のスポーツ機会に年収格差

公益財団法人笹川スポーツ財団(本部は東京都港区)は、スポーツの普及振興を目的とした法人です。同財団は、2025年1月、中学生の子どもをもつ保護者3136名を対象として「中学生のスポーツ活動と保護者の関与に関する調査」を実施し、同年11月12日、その結果を公表しました(結果は≪コチラ≫です。)。

世帯年収を、400万円未満・600万円未満・800万円未満・1000万円未満・1000万円以上の5段階に分けて、運動部活動やスポーツクラブへの加入状況を質問しました。運動部の加入率は、400万円未満の世帯では42.3%だったのに対し、それ以外の世帯では5割を超えました。スポーツクラブの加入率は、400万円未満の世帯では9.0%、1000万円未満や1000万円以上の世帯では2割を超えていました。高年収層ほど運動部・スポーツクラブへの加入が高い傾向がみられました。

子どもが中学校入学前に組織的なスポーツ活動(スポーツ少年団・スポーツクラブや民間の教室、保育所・幼稚園での課外教室や小学校の部活動など)を行っていたかを質問しました。全体では、小学校入学前に45.9%、小学生の頃に55.4%が経験していました。世帯年収別にみると、400万円未満の世帯では小学校入学前31.6%、小学生の頃41.6%であるのに対し、1000万円以上の世帯では58.6%、66.7%と、いずれも3割弱の差がみられました。

子どもの部活動やスポーツクラブについて、1年間で家庭から支払うおよその費用を質問しました。平均値でみると、スポーツクラブ(年15万5799円)が運動部(年5万0857円)を大きく上回り、約3倍となりました。

保護者がどの程度関与するかを、都市の人口規模別に質問しました。「お子様の送迎をする」は3万人未満の都市では85.3%、50万人以上の都市では51.7%でした。「お子様以外の部員の送迎をする」は46.1%と28.3%でした。「教員や指導者との連絡や情報共有を行う」は37.3%と19.7%でした。これらは、人口が小さい都市ほど割合が高くなりました。また、3万人未満の都市では、「怪我人や体調不良者の手当てをする」は18.6%、「活動場所の手配や整備をする」は16.7%、「試合やコンクールの応援を手伝う」は15.7%など、3万人未満で突出して高い結果でした。人口の小さい都市では、公立中学の運動部活動における保護者の関与が多い傾向にありました。

結論を次のようにまとめています。①運動部やスポーツクラブ加入状況にみられる中学生のスポーツ機会は、世帯年収による差がみられる。②中学校入学前からスポーツ機会には世帯年収による差が生じている。③家庭の支出費用は、運動部(年間5万0857円)はスポーツクラブ(年間15万5799円)の3分の1である。④中学生のスポーツ機会に大きな地域差はないが、保護者の関与には地域差がみられた。