全国学童保育連絡協議会は、毎年学童保育の調査をしています

学童保育(放課後児童クラブ)は、放課後や長期休みの小学生の生活の場です。子育て中の共働き世帯が増える中で、子どもにも保護者にも必要な施設です。保護者と指導者で作る全国学童保育連絡協議会(1967年結成。本部は東京都文京区)は、学童保育の実態と課題を明確にするため、毎年5月1日時点の学童保育の調査を行っています。同協議会は、2025年2月17日、前年5月1日時点の調査結果を公表しました。なお、調査は、児童福祉法にのっとり、国や自治体の基準にもとづき行政の関与のもとで運営されている学童保育を対象としており、企業等がビジネスで運営するものは含んでいません(公表結果は≪コチラ≫です。)。

【学童保育数と入所児童数】学童保育数は全国で2万4536ヶ所(前年より43の増)、「支援の単位」の数は3万7094でした(前年より1000の増)。入所児童数は146万5124人で(前年より6万1094人の増)、小学校に通う児童の約24.7%にあたります。

【集団の規模】厚労省令の「放課後児童健全育成事業の設置及び運営に関する基準」10条は、学童保育の基礎的な単位である「支援の単位」を定めています。「専用区画」は児童一人につきおおむね1.65㎡以上であること、「専任職員」は支援の単位ごとに2人以上であること、1つの支援の単位を構成する児童はおおむね40人以下とすること、の明示があります。放課後児童クラブ運営指針は、40人以下の理由を「子どもが相互に関係性を構築したり、1つの集団としてまとまりをもって共に生活したり、放課後児童支援員等が個々の子どもと信頼関係を築いたりできる規模」と明記しています。ところが、40人以下で運営されているのは約6割にとどまりました。同協議会は、上限を超えて大規模化した学童保育では、「一斉に行う活動を中心に生活を組み立てることになりがち」「遊びや活動を制限せざるを得ない」「大人の都合が優先され、保育が行事化・プログラム化が起こりがちで、子ども一人ひとりがやりたいことを実現できない」など、管理的な保育になりがちで、子どもに深刻な影響を与えていると懸念を示します。

【待機児童】学童保育に申し込みをしても入所できない待機児童は1万7737人でした。もっとも、40人以上の大規模な学童保育を追認して待機児童を少なく見せる市町村や、そもそも学童保育がない市町村もあり(待機児童は発生しません)、待機児童数は正確には把握できないとしています。

【運営主体】全体に占める割合として、民間企業運営が大幅に増加しています。学童保育を求める需要に自治体の実態が追いついておらず、指導員の離職・なり手不足など、人材確保が課題となるなかで、公的事業をアウトソーシングする流れもあいまって、公営の学童保育の民間委託がすすんでいます。