今年は、子どもの権利条約批准から30年の節目の年です

5月5日は子どもの日でした。子どもの権利条約が国連で採択されたのは1989年です。20番目の国が批准した30日後に発効するとの規定があり、子どもの権利条約は1990年に発効して国際法としての効力を生じました。ところが、日本政府はなかなか批准手続をしません。多くの市民団体や弁護士会が早期批准を政府に求めました。ようやく採択後5年経過した1994年に条約を批准しました。世界では158番目の批准でした。そして、今年は日本政府が条約を批准して30年の節目の年です。しかし、いじめ、児童虐待、性暴力、自殺、貧困、不登校の急増、居場所の欠如など子どもを取り巻く環境は深刻で、子どもの権利が守られているとはいい難い状況です。少子化対策を含めて子ども政策はわが国の最重要課題です。

日本財団は子どもの声を聴くため、2023年3月6日~12日、同年4月1日のこども家庭庁の発足を前に、株式会社シタシオンジャパンに委託して、全国の10~18歳の男女を対象に、インターネットで「こども1万人意識調査」を実施しました(報告書は、≪コチラ≫をクリックしてください。)。

子どもの権利条約の認知状況について。詳しく知っている・知っている9.8%、聞いたことはない59.3%でした。

こども基本法の認知状況について。詳しく知っている・知っている8.8%、聞いたことはない61.5%でした。

まわりの子どもの権利で守られていないものTOP3。1位は、子どもは自分に関することについて自由に意見を言うことができ、大人はそれを尊重する11.9%、2位は、子どもはどんな理由でも差別されない11.3%、3位は、子どもは教育を受ける権利がある10.8%でした。

子どもの権利を守るためにあると良い仕組みTOP3。1位は、子どもに子どもの権利について、もっと学校で教える29.5%、2位は、子どもが困ったことや大人に伝えたいことを、伝えるサポートをしてくれる人がいる27.7%、3位は、困ったときに電話、SNS、メールなどで相談できるところがある26.5%でした。

国や社会が子どもたちのために優先的に取り組むべきこと。高校・大学までの教育を無料で受けられること40.3%、いじめのない社会を作ること36.7%、本当に困っている子どもの声にしっかり耳を傾けること30.6%でした。

※ 条約の成立  条約には二国間条約と多国間条約がありますが、成立手続は基本的に同じです。主な手続は、署名と批准の2つです。署名とは国の代表者(または、全権大使)が条約文に署名することです。しかしこれだけでは国内法的効力は生じません。その後、政府が条約について最終確認して同意する批准の手続をとります。その際、国会の承認が必要です。批准がなされることによって、はじめてその条約に国内法的効力が生じます。