交通遺児育英会による初のヤングケアラー調査、交通遺児らの16%が家族の世話をしている

あしながおじさんで知られる公益財団法人交通遺児育英会は、同会の奨学生を対象に初のヤングケアラーの調査を実施し、2024年7月11日、その調査結果を公表しました。交通遺児育英会は、保護者が交通事故で死亡したり、重度の後遺障害を負ったりして経済的に就学が困難になった子どもたちに奨学金を貸与又は給付して進学を支援する活動をしています。この調査は同年3月にインターネットで行われ、2023年度に同会の奨学金を利用した奨学生830名のうち366名から回答を得ました(公表文書は≪コチラ≫です。)。

ヤングケアラーとして家族の世話をしている人又は過去にしていた人は、奨学生全体の15.8%にのぼりました。主な世話の対象者は父親でした。具体的には「外出の付き添い」(52.4%)、「家事」(38.1%)、「見守り」(28.6%)などでした。母親に対する主な世話は、「家事」(56.3%)、「外出の付き添い」(50.0%)、「感情面サポート」(31.3%)などでした。

世話をしている高校生の64.7%、大学・短大生以上では24.4%が「ほぼ毎日世話」をしています。世話に費やす時間は、1日あたり1時間未満の高校生は43.8%、大学・短大生以上は27.5%で、中には「5時間以上7時間未満」という対象者が約10%もいました。行政や友人への相談の有無については、高校生の82.3%、大学・短大生以上の65.9%が相談したことがないと回答しました。相談しない理由としては、高校生が「家族のことのため話しにくい」(41.1%)、「相談しても状況が変わるとは思わない」(38.5%)、大学・短大生以上では「誰かに相談するほどの悩みではない」(63.0%)が最多でした。

交通遺児育英会は、この調査の結果について、奨学生のヤングケアラーとしての実態を深く理解する一助にするとともに、今後の支援プログラムの策定に活用していくとしています。