ユニセフ:ソーシャルメディアは年齢制限だけでは解決しない

世界で、ソーシャルメディアの利用年齢に関する議論が高まっています。一部の国では、さまざまなソーシャルメディア・プラットフォームへのアクセスに年齢制限を導入する動きが出始めています。こうした動きを受けて、ユニセフ(国連児童基金)は、2025年12月9日、「『年齢制限だけでは子どもを守れない』子ども向けソーシャルメディア禁止措置」と題する声明を発表しました(声明は≪コチラ≫です。)。

声明を要約すると誤りが生じる危険があるので、そのまま引用します。「子どもたちはネット上でいじめや搾取に直面し、有害なコンテンツにさらされ、精神的な健康やウェルビーイングに悪影響を受けています。子どもたちをこうした状況に置き去りにし、家庭に手に負えない負担を押し付けているデジタル世界の現状に鑑みれば、各国の規制の動きは、真摯な懸念の表れです。ユニセフは、オンラインでの子どもの安全への取り組みが拡大していることを歓迎します。

しかし、ソーシャルメディアの禁止にはリスクが伴い、逆効果になる可能性さえあります。ソーシャルメディアはぜいたく品ではありません。多くの子ども、特に孤独感や疎外感を抱いている子どもたちにとっては、学びや他者との交流、遊び、自己表現への手段を提供する命綱です。さらに、多くの子どもや若者たちは、規制の迂回手段や端末の共有、規制の緩いプラットフォームに移行することでソーシャルメディアにアクセスし続けるでしょう。結果的に子どもや若者たちを守ることは一層困難になるのです。

年齢制限は、子どもを危害から守り、プライバシーと参加の権利を尊重し、規制のない安全性の低い空間へ追いやらないよう配慮した包括的な取り組みの一環として、実施されなければなりません。規制は、プラットフォームが子どもの安全対策に投資する代わりとなるべきではありません。年齢制限を導入する法律は、プラットフォームの設計やコンテンツモデレーション(投稿の管理)を改善する企業の責務を代替する手段ではありません。」

その上で、声明は、政府・企業・規制当局・市民社会や関係団体・保護者や養育者の役割を明示しています。「政府は、企業が子どもの権利への悪影響を積極的に特定し、対処する責任を負うよう義務づけるべきです。」「企業は、子どもの安全とウェルビーイングを中心に据え、製品やサービスの設計を見直さなければなりません。」「規制当局は、子どもがオンラインで被る危害を効果的に防止・軽減するための体系的な措置を講じなければなりません。」「市民社会および関係団体は、ソーシャルメディアの利用年齢制限に関する議論において、子どもや若者、保護者、養育者の声と実体験を強く発信していかなければなりません。」「保護者や養育者のデジタルリテラシーの向上も支援されるべきです。」