ミニ情報 公園の廃止について子どもの意見を聴く必要はありますか。こども家庭庁は、国や自治体が子ども・若者の声を聴く取組を始めるようガイドラインを出しました
利用する子どもの声がうるさいとの近隣からの苦情がきっかけで、2022年12月A市が市内の公園を廃止するというニュースが流れました。報道では「毎日40~50人の子どもが一斉に遊び、騒がしい。」との苦情がA市にあったそうです。A市長は「非常に苦しい判断だが、手続を進める。」と説明して理解を求め、公園は廃止になりました。その公園廃止の手続の中でA市長や市担当者が子どもの意見を聴いたかどうかは報道されませんでした。A市の公式ホームページを見る限りでは、子どもの意見は聴かれていなかったようです(市の説明は≪コチラ≫をクリックしてください。)。
ところで、子どもの権利条約12条は、子どもの意見表明権を保障しています。この権利は「意見を聴かれる権利」です。子どもたちに自分に関係する全ての事柄について、おとなに対して意見を述べ、その意見がおとなによって十分に聴かれる権利を認めたものです。ですから、公園の廃止手続を進めるにあたっては子どもたちの声をよく聴き、その声を十分に考慮し反映した上で政策を進めるべきです。
2022年6月に成立し2023年4月に施行されたこども基本法11条は、「こども施策を策定し、実施し、及び評価するに当たっては、当該こども施策の対象となるこども・・・その他関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」ことを国や地方公共団体に義務づけました。
こども家庭庁は、2024年3月、国や地方自治体向けに「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン~こども・若者の声を聴く取組のはじめ方~」を公表しました(ガイドラインは≪コチラ≫をクリックしてください。)。はしがきには「地方自治体職員の皆様におかれましては、本ガイドラインを活用いただき、こども・若者の意見を聴き、政策に反映するために必要な措置が講じられるよう、お願い申し上げます。」と書いています。ガイドラインには、公園の遊具の設置について近隣の幼児を含む子どもに意見を聴いている地方自治体の事例が紹介されています。遊具の設置について子どもの意見を聴くのですから、毎日40~50人の子どもが遊んでいた公園の廃止について子どもの意見を聴くことが必要でしょう。
(出典 こども家庭庁「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」7ページ)