わが国の大学入試のプロセスを子どもの権利から考えてみる
①差別のないこと、②子どもにとって最も良いこと、③命を守られ成長できること、④子どもが意味のある参加ができること。これらの①~④は、子どもの権利条約の4つの原則です(4原則は≪コチラ≫です。)。こども基本法の基本理念にもなっています。こども家庭庁の助成を受けて調査研究に携わることが多い株式会社日本総合研究所の研究員は、2025年3月11日、大学入試のプロセスを4原則から見たときの課題について述べています。そのうちで③に関して述べていることを紹介します(原典は≪コチラ≫です。)。
4原則の3番目の「命を守られ成長できること」では、医療、福祉、教育などのサービスを享受できることが想定されています。大学の存在が子どもの発達に寄与することを前提として、大学入試のプロセスが、果たして子どもの成長・発達に貢献しているかを考えると、「負の影響」も無視できません。どういうことかといいますと、日本の教育システムは、国連子どもの権利委員会からも「過度に競争的」と指摘されています。それは、出願してから受験するまでの数か月間だけのことではありません。早ければ小学生の頃から特定の大学や学部を目指せと教えられて育つ子どももいます。幼い頃から同じ学年の子どもは友人というよりもライバルと扱ってしまい人間関係をうまく築けなかったり、成績が伸びないことがストレスになったり、勉強時間が長時間になって視力を低下させたりするなど、場合によっては「合格」という報酬対比、大きすぎる代償が生まれることもあります。海外の例と安易に比較すべきではありませんが、「大学には入りやすいが、出にくい」というスタイルの国もあります。今後、少子化がさらに進む日本においては、昔のように「成績でふるいにかける」必要が薄れ、全体を底上げすることの意義が高まります。現時点では様々な種類の推薦入試がでてきており試行錯誤段階ともいえます。個人レベルに加え、社会全体でみた「発達」を意識する必要があります。
以上のような指摘が表明されています。わが国の大学の入試のプロセスが子どもの権利との関係でどのような問題があるのか、改めて考えてみる必要があるといえます。