ひとり親家庭への相談支援のためのハンドブックができました
こども家庭庁は、2025年3月、「ひとり親家庭等への相談支援ハンドブック」を公表しました。ハンドブックは、こども家庭庁からの助成を受けて株式会社NTTデータ経営研究所が作成しました(ハンドブックは≪コチラ≫です。)。
「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」では、ひとり親家庭が抱える悩みについて「相談相手がいる」と回答した人は、母子世帯で78.1%、父子世帯で54.8%でしたが、相談先は母子・父子世帯ともに「親族」が最も多くなっていました。一方で、ひとり親や寡婦の相談支援を行う職員として自治体に配置されている母子・父子自立支援員を利用したことがあると回答した人は母子世帯の3.9%、父子世帯の1.6%にとどまり、公的機関への相談割合は高くありません。また、「相談相手がいない」と回答した母子世帯の58.1%、同父子世帯の48.0%は「相談相手が欲しい」と回答しました。相談相手が欲しくても、誰に相談したらよいか困っているひとり親が大勢いるのです。加えて、ひとり親の困りごとは、家計、仕事、子どもの教育・進学などの親自身と子どもに関する悩みだけでなく、親族の健康・介護まで多岐にわたっていました。NTTデータ経営研究所がハンドブックを作成するにあたって2024年度に自治体に実施したアンケート調査によると、母子・父子自立支援員の雇用形態は会計年度任用職員(パートタイム)が最も多く、半数程度がひとり親家庭支援以外の業務と兼任していました。また、都道府県の半数以上、市区町村の4割近くの母子・父子自立支援員が、過去に相談支援業務に従事したことがないとの結果でした。ひとり親家庭への支援においては、母子・父子自立支援員等の実務者による相談支援活動だけでなく、所属部署において実務者を支援する体制や、関係機関・部署との連携が不可欠です。こうした観点から、ハンドブックは、ひとり親家庭への支援に関わる全ての人を対象に、ひとり親家庭への支援に役立てることを狙いとして作成されました。
ハンドブックは、相談支援に関する知識や経験のない初任者でも、重要なポイントを理解し、相談支援にあたれるように、ひとり親家庭に求められる支援の流れや視点についてまとめてあります。様式例は、実際にあった相談内容を参考に事例を作成し、記載してあります。それぞれのひとり親家庭の置かれた状況に応じた支援の充実を図るうえで、ハンドブックを活用することが有効です(関連記事は≪コチラ≫です。)。