こども政策推進会議は、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第6次)」を公表しました

こども基本法17条1項は、こども家庭庁の特別の機関として、「こども政策推進会議」を置くと定めています。会長には内閣総理大臣が就き、関係閣僚が委員を務める重量級の機関です。この会議は、2024年9月9日、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第6次)」を公表しました(以下では「基本計画」といいます。基本計画の本文は≪コチラ≫、概要は≪コチラ≫、関連記事は≪コチラ≫です。)。

基本計画の「はじめに」で日本の現状が述べられています。「インターネット上には、青少年の健やかな成長を著しく阻害する有害情報も氾濫し、青少年の興味を引く多様なサービスが次々と登場し、一部ではそれらが悪用されて犯罪被害につながる場合もあるなど重大な問題も起きている。児童買春や児童ポルノを始めとするSNSに起因する事犯の被害児童数も依然として高水準にあり、だまされたり、脅されたりして児童が自分の裸体を撮影させられた上、メール等で送らされる形態の児童ポルノ被害(自画撮り被害)も問題となっているほか、青少年がSNS上における『闇バイト』等情報をきっかけに重大な犯罪に加担する事案等、SNSをきっかけとした事件も発生しているところである。また、近年では、幅広い世代におけるインターネットの利用、スマートフォンや生成AIの普及を背景に、SNS等のプラットフォームサービスにおける、生成AIの利用により生成されたものを含めた、巧妙な偽・誤情報の流通や拡散に伴う社会的な影響も深刻化している。」

これに対し、基本計画3ページは3つのポイントを挙げます。「1青少年が自立して主体的にインターネットを活用できる能力の向上の促進」、「2フィルタリングを始めとする技術的手段による青少年保護の推進」、「3親子のルールづくりや教育・啓発など教育的手段による青少年保護の推進」の3点です。

なお、基本計画6ページには次のように書かれています。「青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための施策は、インターネット上の自由な表現活動の確保の観点から、受信者側へのアプローチを原則とする。」また、基本計画7ページには「いかなる情報が青少年有害情報であるかは、民間が判断すべきであって、その判断に国の行政機関等は干渉してはならない。」とあります。これらは、表現の自由や検閲の禁止に配慮した見解にみえます。しかし、発信者側へのアプローチは原則としてしないというのです。この基本計画を目にして発信者側は安堵してヒートアップするのではと危惧されます。明らかな有害情報ですら放置されて顧みられることのないわが国の現状の是非を議論する必要性は非常に高いのではないでしょうか。