こども家庭庁:「こども性暴力防止法」のガイドライン案が固まる

学校や保育所などの子どもの施設での盗撮や子どもへの性暴力が相次いでいます。子どもへの性暴力を防止するための「こども性暴力防止法」が2026年12月25日に施行されます。法律の柱は「日本版DBS」制度ですが、法律の定めはこれに限られません。子どもへの性暴力を防止・把握・適切に対処するために事業者がとるべき措置を定めています。こども家庭庁の有識者検討会は、2025年12月22日、その法律のガイドライン案を了承しました(ガイドライン案は≪コチラ≫、関連記事は≪コチラ≫です。)。

【日本版DBS制度】子どもと接する事業者が、現に働いている従業員やこれから新たに採用しようとする者の性犯罪の前科の有無を、こども家庭庁を通じて法務省に照会して確認する制度です。照会の結果、前科のあることが確認されたときは、従業員に対しては子どもと接する職場からの配置転換などを、新規採用予定者に対しては内定の取消などの対応を講じなければなりません。制度の対象となる事業者は、学校・認可保育所・児童養護施設などの公的施設の外に、国の認定を受けた民間の教育保育事業者を含めます。これには、専修学校、学習塾、スポーツクラブ、ダンススクール、フリースクール、放課後児童クラブなどが入ります。前科は、不同意性交等罪や児童買春・児童ポルノ禁止法違反などの法律違反と自治体の条例違反を含みます。拘禁刑(実刑)は刑の執行終了後20年間、執行猶予は判決確定後、罰金刑は執行後ともに10年間の確認期間があります。従業員のうち、教員や保育士など常に子どもと接する職種は一律で対象になり、事務職員は事業者の判断で、支配性・継続性・閉鎖性の3要件を満たせば対象となります。スポットワークやボランティア、実習生も対象になりえます。名前を変えて犯歴を隠すことを防ぐため、照会には過去の全ての戸籍が必要となります。

【事業者の安全確保措置】ガイドライン案は、子どもへの性暴力を防止し、把握し、適切に対処するために事業者がとるべき措置を定めています。防犯カメラの設置は、性暴力抑止やトラブル防止の観点から有効とした上で、プライバシーや現場の萎縮、目的外利用の禁止に配慮するよう求めています。子どもとの私的なコミュニケーションや不必要な身体接触などを、性暴力につながりうる「不適切な行為」と定めました。指導にもかかわらずこのような行為を繰り返した場合は、配置転換などの措置が必要としています(不適切な行為は≪コチラ≫です。)。さらに、横断指針にはより詳細な留意点が示されているので参照が望ましいとします(横断指針は≪コチラ≫です。)。