こども家庭庁公表:医療機関の46.3%が「付き添い入院」を家族に依頼

こども家庭庁は、2024年4月12日、入院中の子どもへの世話を家族が泊まり込みで行う「付き添い入院」に関する実態調査の結果を公表しました。この種の調査は初めてです。調査は、こども家庭庁からの委託により株式会社野村総合研究所が実施し、医療機関へのヒアリングとアンケートで行われました。アンケートは全国751件の小児中核病院などに配布し、そのうち349件から回答を得ました(こども家庭庁のプレスリリースは≪コチラ≫を、報告書は≪コチラ≫をクリックしてください。)。

付き添いは家族の任意です。しかし、46.3%の医療機関が「病状などを勘案した上で基本的に付き添いをお願いしている」と回答しており、医療機関側から家族に付き添いを要請しているケースが多くみられました。それとは逆に、家族の付き添いが難しいため入院できなかったり、他の医療機関への転院を調整したりしたことのある医療機関は36.1%でした。また、子どもが入院した際家族の付き添いをしないという回答も4%ありました。付き添いを依頼する条件として「入院する子どもが特定の年齢・月齢以下であること」が79%、「医療的ケア児であること」が50.3%、「特定の疾患であること」が26.6%でした。一定年齢以下の子どもや医療的ケアの必要な場合などでは家族の付き添いが必要または有効であると考えられているようです。

家族が病室で寝る場合、簡易ベッドなどの寝具を貸与している医療機関は85.2%にのぼりました。食事については、コンビニでの調達が80.9%で最も多く、次いでレストランや食堂でした。家族向けに病院食を提供しているのは29%にとどまりました(複数回答あり。)。

公的医療保険制度では、患者の年齢を問わず、入院中の看護は看護師らが担うものとされています。しかし、親子の結びつきや子どもの心情の安定、病状しだいでは家族の付き添いが必要または有効であって、現実には付き添い入院が広く行われています。ただし、付き添い入院によってケアが長期にわたり、体調を崩す事例があることなどが課題となっています。このように法の建前と現実のはざまに置かれた付き添い入院については、診療報酬を加算するなどして根本的な対応はとれないものかと考えられます。なお、医療機関に加えてその職員、入院中の子ども、付き添った家族からも聴取をすれば多面的な把握が可能になると思われます。