こども家庭庁・文科省・厚労省:自殺対策基本法改正を周知。主眼は子どもの自殺対策の強化

自殺対策基本法の改正法が2025年6月5日成立し、一部を除き2026年4月1日に施行されることになりました。改正の背景には、近年は減少傾向にあるものの依然として年間自殺者が2万人を超えていることに加え、子どもの自殺者は増加傾向が続き、2024年の小中高生の自殺者が529人と過去最多となるなど極めて憂慮すべき事態が生じていることがあります。自殺が10歳代の死亡原因の第1位となっているのは、G7で日本だけです。こども家庭庁・文科省・厚労省は連名で、2025年6月11日、「自殺対策基本法の一部を改正する法律の公布について」という通知を都道府県など全国の学校設置者に発し、改正法の内容の周知を図るよう求めました(通知は≪コチラ≫、改正の概要は≪コチラ≫です。)。改正点はいずれも重要ですが、抽象的な規定のために実効性に薄いとかさらに学校が忙しくなるという意見もあります。

【基本理念と学校の責務】子どもの自殺対策を社会全体で取り組むことを明記するとともに、子どもの自殺の防止について学校の責務を明らかにしました。

【心の健康】学校は、子どもの自殺の防止の観点から、心の健康の保持のための健康診断、保健指導等の措置を行うよう努めるほか、精神保健に関する知識の向上に努めるものとすることを追加しました。

【医療提供体制の整備】医療提供体制の整備に関し必要な施策の例示として、精神科医その他の医療従事者に対する自殺の防止に関する研修の機会の確保を追加しました。

【自殺発生回避のための体制の整備】①自殺発生回避のための体制においては、自殺をする危険性が高い者を早期に発見し、自殺の発生を回避するための適切な対処を行う上で必要な情報が、当該対処を行う関係機関及び関係団体に対し迅速かつ適切に提供されるようにするものとし、そのために必要な措置が講じられなければならないとしました。②国及び自治体は、自殺の防止の観点から、自殺の助長につながるような情報、物品、設備等についてその適切な管理、配慮等に関して注意を促すために必要な措置を講ずるものとしました。

【自殺未遂者の支援】自殺未遂者への支援に関し、その継続的な支援について明記しました。

【親族の支援】自殺者の親族への支援に関し、その生活上の不安の緩和の観点からも行うことを明記するとともに、総合的な支援について規定しました。

【協議会の設置】自治体は、学校、教育委員会、児童相談所、精神保健福祉センター、医療機関、警察署等の関係機関、民間の団体などで構成する協議会を置くことができることとしました。