こども家庭庁は「こどもの居場所づくりに関する指針 解説書」を公表しました

子どもや若者の居場所がないことが問題になっており、子どもの居場所づくりが急務です。政府は、2023年12月22日、「こどもの居場所づくりに関する指針」を閣議決定しました(関連記事は≪コチラ≫です。)。こども家庭庁はその解説書を作成して、2025年5月14日、都道府県宛に通知しました(解説書は≪コチラ≫です。)。「第2章 こどもの居場所づくりとはどういった取組か」を読み解いてみます。

「居場所」は、子ども若者がそこを居場所と感じるかどうかという主観によって決まります。子ども若者が過ごすあらゆる場所、時間、人との関係性が居場所になり得ます。ですから、物理的・空間的な場所だけでなく、オンライン空間や、好きな遊びや体験活動をしている時間、信頼できる他者とのつながりなども含まれます。

「居場所づくり」は、大人をはじめとする第三者が担い手で進められます。こうした担い手の思いと、子ども若者が居場所と思える場との間にギャップが生じることは少なくありません。また、子どもがその場所を居場所と感じかどうかがそもそも変化しやすいものです。こうした「居場所」と「居場所づくり」のギャップは、一度乗り越えたと思えた場合でも、その先にギャップが生じてくることもあります。ギャップを乗り越えるには、子ども若者の視点に立ってその声を聴き、子ども若者が居場所と感じるために何が必要かを考えながら、居場所づくりを進めることが重要とします。

居場所づくりにあたっては、子ども若者本人が「居たい」「行きたい」「やってみたい」と思うものであることが重要です。ただし、どのような場所に「居たい」「行きたい」「やってみたい」と感じるかは、子ども若者一人一人で異なり、例えば「一人で過ごせること」と「他者とコミュニケーションがとれること」のように矛盾する意見が出てくることもあり得るため、多様な場から選択できる環境を整備することが必要です。

子ども若者の意見を「聴く」には、意見を表明しやすい環境づくりが不可欠です。そのためにも、その場所が子ども若者自身にとって、誰とどのように過ごす場所になっているかを考える必要があります。また、声を聴くとは、様々な形で表出される子ども若者の想いを受け止め読み解く営みに他なりません。

子ども若者の居場所のあり方は、地域性の影響を大きく受けるものです。例えば古くから住民がいる地域なのか新興住宅街なのか、その地域の特性によって、子ども若者がどういった居場所を求めているのかも変わり得ます。このため、子どもの居場所づくりを推進する際には、地域性に配慮し、地域の実態に沿った形で取組を展開することが必要です。