こども家庭庁は、CDRの状況をまとめました
こども家庭庁は、2025年4月25日、「CDRの現状について」の報告をまとめました。CDR(Child Death Review 予防のための子どもの死亡検証)とは、18歳未満の子どもの死亡事例を多職種(医療、警察、消防、行政関係者等)が既往歴や家族背景、死に至る直接の経緯、解剖結果等の各種情報を基に死因調査を行って検証し、効果的な予防策を導き出す取組です。そこには、子どもの死亡原因に不適切な養育あるいは児童虐待がなかったのかを検証することも含まれます。2020年度からは複数の自治体でモデル事業が始められました(報告は≪コチラ≫、一般的な説明は≪コチラ≫です。)。
2022年度に8道府県で行われたモデル事業の実施状況がまとめられています。8道府県で把握された死亡件数は200件、選定された事例は175件、同意取得のための説明が実施できた事例は127件、同意が得られた事例は61件でした(説明が実施できたケースの48%に当たります。)。次のような成果がありました。「睡眠時の事故対策、交通事故対策、水難事故対策、周産期、不適切養育対策、自殺防止等の予防策を提示した。中でも多く提示された予防策のカテゴリーとして、自殺予防:15件、周産期:12件があげられる。」次のような課題が提示されています。「不適切な養育が疑われる死亡事例で、親の同意が得られにくい。警察から捜査中事例の情報提供がないために、十分な検証が難しい。CDRの認知が不十分であり、周囲の関係者の理解が乏しく、必要な情報が得られにくい。」
アメリカ、イギリス、オランダのCDR制度が紹介されています。保護者同意の要否について、アメリカは州により異なっています。イギリスでは、「病死などの死因が判明しており、死因診断書が発行された場合には、保護者が希望すれば、病院での死後検証を要請できる。暴力、事故、自殺、他殺による死亡や不自然な死亡など、死因診断書が発行できない場合は、同意不要で検視官による検証に移行する。」となっています。オランダでは、「必要。ただし、虐待等の疑いがある不審死や、強制的な捜査を要する事例は除く。」となっています。
こども家庭庁は、2025年度の事業として、CDRの取組や意義を広く国民に普及啓発し、理解促進を図る事業に取り組むなどとしています。現在はまだ少数の自治体でのモデル事業にとどまっています。しかし、子どもの死亡事故を防止するために早急に全国的な制度にする必要があります。