こども家庭庁は、2023年12月、親子関係の再構築の支援に向けたガイドラインを発しています
国連・子どもの権利委員会は、2010年、日本政府にこう勧告しました。「家族を支援しかつ強化するための措置を導入するよう勧告する。そのための手段としては、子育ての責任を履行する家族の能力を確保する目的で男女双方を対象として仕事と家庭生活との適切なバランスを促進すること、親子関係を強化すること・・・などがあげられる。」(同年の第3回勧告書・51パラグラフ)。国連から見ればわが国の家族や親子の関係には脆弱性があり、家族や親子を支援し強化するための措置を導入する必要があると日本政府に勧告しているものです。
また、「著しい数の子どもが情緒的ウェルビーイングの水準の低さを報告していること、および、親および教職員との関係の貧しさがその決定要因となっている可能性があることを示すデータに留意する。」ことも指摘しています(第3回勧告書・60パラグラフ)。日本の子どもの情緒的ウェルビーイングが低い決定的な要因が親及び教職員との関係の貧しさに求められる可能性があるというのです。親や教師ら成長発達の場で出会う身近な大人との人間関係が貧困、という意見は重大です。
これらの勧告との関連性は鮮明ではありませんが、2022年の児童福祉法の改正により、同法33条の6の2に「親子関係再統合支援事業」の規定が盛り込まれました。そこには「都道府県は、児童の健全な育成及び措置解除者等の自立に資するため、その区域内において、親子再統合支援事業・・・が着実に実施されるよう、必要な措置の実施に努めなければならない。」とあります。これを受けて、こども家庭庁は、2023年12月「親子関係再構築のための支援体制強化に関するガイドライン」を発しました。ガイドラインには、「親子再統合支援」は「親子関係再構築支援」と同じ意味であると書かれています(ガイドラインは≪コチラ≫です。)。
支援には、親子分離によって施設・里親・ファミリーホームで生活している子どもと親を対象とした家庭復帰の支援が含まれます。しかし、それだけに限られず、在宅で生活している親子を対象とした支援も含まれています。また、親子の交流がない場合等も含めて、子どもの生い立ちの整理や、きょうだい等の家族・親族等の関係性の構築、永続的なつながりや養育環境を構築するための支援も含まれる、としています。これをまとめると、支援の種類は下表のようになると説明されています。
(出典 こども家庭庁「親子関係再構築のための支援体制強化に関するガイドライン」1ページ)