こども家庭庁は、虐待死事例の検証に関する規定を全面改正しました

こども家庭庁は、2025年3月28日、関係自治体に対し、「『地方公共団体における児童虐待による死亡事例等の検証について』の全部改正について」を通知しました(通知は≪コチラ≫、旧規定は≪コチラ≫です。)。

児童虐待を受けた子どもが心身に著しく重大な被害を受けた事例について、国・自治体双方が検証の責務を負う旨が児童虐待防止法4条5項に規定されています。その検証の目的や手続を具体化したのが、厚労省が平成20年3月14日付で定めた「地方公共団体における児童虐待による死亡事例等の検証について」です。こども家庭庁は旧規定を全面改正しました。

主要な改正点を見ましょう。【第1基本的な考え方・5検証対象の範囲⑴の後段】心中事例は旧規定においても検証の対象でしたが、付随的な印象を拭えない表現でした。心中事例は保護者が子どもを殺害する紛れもない虐待死に当たることを確認し、検証の対象に該当することを明確にしました。【第1・5⑶】「地方公共団体が虐待による死亡であると断定できない事例であっても、検証することで再発防止につながる教訓が得られると考えられる場合は、併せて検証の対象とすること」との規定を新設しました。【第1・7検証方法⑸】「転居を繰り返し、複数の地方公共団体が関与していた事例」の規定を新設しました。こうした事例では、事件発生時の関係機関の関与状況に限らず、転居前の対応状況や転居前後のケース引継ぎ状況等の一連の過程を検証して再発防止につなげることが重要です。当該事例に関係した自治体間の相互の協力の下で検証を行うべきことを明記しました。【第1・8報告等⑴】検証組織が報告書を公表する際は、個人情報を削除してプライバシー保護に十分配慮するよう求めています。旧規定にも同種の規定がありましたが、文言を整備しました。【第1・8⑶の後段】検証組織による報告書を踏まえて都道府県は必要な措置をとり、その措置の内容を検証組織に報告することは旧規定にも定めがありました。検証組織は都道府県の取組状況の報告を基に評価を行い、これを都道府県に報告することが新設されました。【第1・8⑹】自治体における検証会議へこども家庭庁から職員を派遣することがありうることを明記しました。【第2検証の進め方・2事例の概要把握】検証組織における会議初回で守秘義務を確認する規定を新設しました。【第2・3事実関係の明確化⑶の後段】「検証において必要とされる場合は、医療機関に対し医療情報の提供を求めることも検討する」との規定を新設しました。【第2・7検証報告の周知と積極的な活用】検証結果は類似事例の予防や再発防止につながる貴重な資料です。自治体で実施する研修等でその内容が周知され積極的な活用を図ることが明記されました。