こども家庭庁は、災害時の子どもの居場所づくりの手引きを周知しました
ひとたび水害や大地震などの自然災害が起きると家庭や地域コミュニティは破壊され、それまでの日常は突如として失われます。災害が子どもに及ぼす影響については、医療分野などで経年的な研究や報告が行われています。それによると、子どもは、被災の体験そのものだけではなく、発災後の生活環境の変化やそれに伴う心理的・物理的負担などから、長期的に大きな影響を受けることが明らかにされています。災害により自宅が被害を受けたり休校が続いたりした際に、ストレスや不安をかかえた子どもが安心して過ごせる居場所があることは、その後の心の回復にとっても重要です。
東洋大学福祉社会開発研究センターは、こども家庭庁の助成を受けて「災害時におけるこどもの居場所づくり 調査研究」を実施し、その結果を2025年4月25日公表しました(報告書は≪コチラ≫です。)。全国13か所の被災地域で、災害を契機につくられた子どもの居場所の実態調査をしました。過去の災害には様々な子どもの居場所づくりがあり、それが有効な子ども支援の一つであることが確認されました。居場所を十分に機能させるには、その量と質を確保する必要があり、平時からの取組が不可欠であることも明らかとなりました。これを受けてこども家庭庁は、「災害時のこどもの居場所づくりの手引き」を作り、2025年5月14日、都道府県宛に通知しました(通知及び手引きは≪コチラ≫です。)。
【災害時の子どもの居場所に期待される役割】人との出会いやつながりの場となることで、災害によるマイナスの影響を少なくする。活動や関わりを通して発災前の子どもの日常を取り戻し、子どもが持つ回復する力を引き出す。ケアの必要な子どもや子どもの権利侵害を早期に発見し、適切な支援につなぐ。【居場所の開始時期】人命救助と安全の確保を最優先としながら、いち早く、できれば発災当日、可能な限り発災後2、3日以内に、居場所を確保することが望ましい。そのため、避難所での子どもの居場所づくりを目指すことになる。【活動内容】求められる支援は様々である。安全の確保を最優先にしながら、子どもや保護者のニーズ、被災地域の状況を踏まえて具体的な活動内容を決めていく。安全・安心な場の提供、遊びの場の提供、学習の場の提供、食事やおやつの提供、情報の提供、物資の提供、相談支援、子どもの主体性を活かした活動、機会の提供や避難先で暮らす子どもへの支援など。【平時の備え】平時の備えとは、災害が起きた後に、速やかに子どもの居場所づくりを進めるための準備だけを指すのではない。災害という危機場面において、子どもの生命を守り、子どもの健やかな育ちを保障するためには、平時からの取組が欠かせない。言い換えれば、平時における、子どもの育ちを重層的に支えるための基盤整備こそが、災害への備えとなる。