こども家庭庁は、子どもの自殺の要因分析に取り組んでいます
近年、子どもの自殺が増加し、2024年の小中高生の自殺者は529人と過去最多になりました。政府が2023年6月2日にまとめた「こどもの自殺対策緊急強化プラン」は、子どもの自殺の要因分析をポイントの第一に挙げており、こども家庭庁はこれに取り組んでいます(プランは≪コチラ≫です。)。
一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターは、こども家庭庁の2024年度の補助を受けて、2025年6月23日、「こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究」の報告書を公表しました。同センターは、昨年も同名の報告書を公表しており、通算では2回目です。前回の報告書では、最終的には、「(収集された資料の限りでは)情報量や正確性に課題があることから、特に、広い範囲の聞き取り調査や外部専門家の参加等なしに作成される事件等報告書や基本調査結果については、記載内容のみから自殺の要因を特定することは困難であり、推察することも控えるべきであると判断した。」と述べていました(概要版は≪コチラ≫、全文は≪コチラ≫、前年の記事は≪コチラ≫です。)。
今回の報告書では、子どもたちの自殺の背景を分析する資料として、教育委員会等が保有している「児童生徒の事件等報告書」と「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」に基づく「基本調査結果」及び「詳細調査報告書」に着目しました。これらの資料から138事案を抽出し、そこから子どもたちの自殺の背景にあった事象や発生した事象等の情報(報告書は、これを「置かれていた状況」と呼びました。)を調べました。すると、のべ422個の「置かれていた状況」が抽出され(1事案あたり平均3.1項目となります。)、類似のものをまとめると30項目に整理されました。
こうしたプロセスから報告書が導いた考察を原文のまま引用します。「1事案あたり平均3.1項目の『置かれていた状況』が確認されたことは、こどもが自殺に至るまでには、様々な要因が相互に関わっていることを改めて示しているものと考えられる。また、30項目のうち、該当事案の割合が最も高かったのは『ひとり親家庭』(28.3%)であった。さらに、『置かれていた状況』の共起については、『ひとり親家庭」と『家族の問題行動』、『不登校』と『精神疾患』、『学習困難・学業不振』と『進路問題』の組み合わせが最も多く、いずれも11事案(8.0%)で抽出されたほか、『置かれていた状況』だけでなく、その組み合わせも多様であることがうかがわれた。今回の分析は、あくまで提供された資料の記載内容に基づくものであり、自殺で亡くなったこどもたちの『置かれていた状況』の全体像を示すものではないことに留意が必要である。」