こども家庭庁は、子どもの居場所づくりを推進する指針を発しました

こども家庭庁は、2023年12月22日、「こどもの居場所づくりに関する指針」を明らかにしました。この問題の背景には、社会構造・経済構造の変化に伴ってこれまで子どもの居場所であった家庭や地域等の役割が希薄化し、子どもが居場所を持つことが難しくなっていることがあります。その一方で、児童虐待の相談対応件数、不登校・いじめ重大事態の発生件数、自殺する子どもの増加などに見られるように、子どもの環境は厳しさを増し、子どもの権利が侵害される事態も生じています。このようなことから、子どもの居場所(サードプレイス)づくりの緊急性と重要性が高まっています。

指針は、居場所の定義を「こども・若者が過ごす場所、時間、人との関係性全てが、子ども・若者によっての居場所になり得る。すなわち居場所とは、物理的な『場』だけでなく、遊びや体験活動、オンライン空間といった多様な形態をとり得るものである。こうした多様な場がこどもの居場所になるかどうかは、一義的には、こども・若者本人がそこを居場所と感じるかどうかによっている。その意味で、居場所とは主観的側面を含んだ概念である。」としています。非常に広い定義です。ですから、子ども食堂や学習支援の場、児童館、学童クラブなどの物理的な場所はもちろん、遊びの場や体験活動のようなリアルの空間のみならず、SNSやゲームなどのオンラインやメタバース空間なども、そこが子どもにとって居場所だと感じられれば居場所となり得ることになります。子どもの居場所づくりを進めるにあたっての基本的視点としては、子どもの声を聞き子どもの視点に立ち子どもとともに作ることや子どもの権利を理解し守るとともに子ども自身がその権利について学ぶ機会を設けることも重要としています。

そして、指針は、民間団体や地域住民、学校、企業、市区町村、都道府県などが居場所の重要性について理解を深めた上で、子どもの声を聞きながら居場所づくりを推進するとしています。ところで、政府は2022年度から「NPO等と連携したこどもの居場所づくり支援モデル事業費国庫補助金交付要綱」を定め、子どもの居場所づくりへの支援を開始しています。この流れを受けて、今後はこども家庭庁の予算措置の下で指針に沿って幅広い居場所づくりが行われるものと考えられます。

指針は以下をご参照ください。

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/816b811a-0bb4-4d2a-a3b4-783445c6cca3/9dade72e/20231201_policies_ibasho_09.pdf