こども家庭庁公表:青少年のインターネット利用環境実態調査

こども家庭庁は、2024年3月、「青少年のインターネット利用環境実態調査」の報告書を公表しました(概要版は≪コチラ≫です。)。ここでのインターネットには、学校から配布・指定されたパソコンやタブレット、ゲーム機、テレビ(単なるテレビ視聴は含まれません。)も含まれています。

このような調査が始まったのは2009年からで、それから毎年度実施されてきました。その年の4月1日に青少年インターネット環境整備法が施行されたのがきっかけでした。この法律は、犯罪誘引情報・自殺誘引情報・わいせつ情報・残虐情報の4つを「青少年有害情報」に指定し、子どもがこれらの情報にアクセスできないための仕組みを定めました。たとえば、子どもがスマホを購入しようとするときは、保護者が反対したときを除き、携帯電話会社はフィルタリングサービスの利用を条件として販売しなければなりません。また、保護者はその子どもにインターネットを適切に利用させる努力義務を負います。そこにはフィルタリングや家庭内ルールを作ることも含まれます。

調査は、10~17歳の子ども5000人、その子どもと同居する保護者5000人、0~9歳の子どもと同居する保護者3000人を対象に行われました。10~17歳の子どもの98.7%、0~9歳の子どもの74.9%がインターネットを利用していました。利用率は2歳で6割、5歳で8割に上るなど低年齢化が目立ちます。10~17歳の子どもの1日あたりの平均利用時間は、前年度と比べて16分増えて4時間57分でした。高校生は6時間14分、中学生は4時間42分、10歳以上の小学生は3時間46分でした。利用目的は、年齢層により傾向は違いますが、動画を見る、音楽を聴く、ゲームをする、検索する、勉強するなどが上位です。

0~9歳の子どもの保護者のうち、「ルールを決めている」との回答は80.8%、他方で、学校種が上がるにつれて「ルールを決めていない」との回答が増加しました。フィルタリングの認知度は、10~17歳の子どもの保護者では94.8%、0~9歳の子どもの保護者では88.8%となっています。実際にフィルタリングを使っていると回答した10~17歳の子どもの保護者は44.2%、0~9歳の子どもの保護者は19.0%でした(低いのは、保護者のインターネット機器を共用しているという事情もあります。)。フィルタリングも含めていずれかの方法で子どものインターネット利用を管理しているという回答は約90%でした。こども家庭庁は、トラブルを減らすにはフィルタリングサービスと家庭内ルールが重要としていますが(参考資料は≪コチラ≫です。)、一部にとどまっています。

※青少年インターネット環境整備法の正式名称は、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」です。

※※フィルタリングとは  英語のfilterには、ふるいにかける、濾過するという意味があります。フィルタリングには、原則は全てのサイトにアクセス可能ですが、有害なサイトへのアクセスだけを制限する方式(ブラックリスト方式)と、子どもにとって安全なサイトのみにアクセス可能で、それ以外のサイトへのアクセスを制限する方式(ホワイトリスト方式)があります。