こども家庭庁は、子どもに対する性暴力の防止の取組に関する指針を作りました
こども家庭庁は、2025年4月18日、「教育・保育等を提供する事業者による児童対象性暴力等の防止等の取組を横断的に促進するための指針」を公表しました。略称は横断指針です(指針は≪コチラ≫です。)。
対象は子どもに対し教育や保育等を提供する事業者です。学校、保育所、幼稚園、ベビーシッター、児童館、乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、学習塾、家庭教師、スイミングスクール、スポーツ教室、ダンス教室、自然体験学習等の各種の事業が想定されています。これまでは、これらの事業の所管行政・所管団体が事業者向けに、子どもへの性暴力防止を内容とした指針・ガイドラインを個別に作成したケースがありました。しかし、これらの事業を横断的にカバーしたものはありませんでした。そこで、こども家庭庁は、これらの事業者が子どもを対象とした性暴力の防止に取り組むための情報を業界横断的にとりまとめました。
こども家庭庁は、業界や事業者が本指針を参考にして、子どもへの性暴力防止の議論を行い、服務規律等の文書を作成・改訂し、取り組むよう呼びかけています。ただし、本指針は法律に基づくものではないため法的拘束力はなく、事業者に義務を課する効果をいっさい有しません(国民の権利を制限し、義務を課することができるのは、法律及びその委任を受けた政令・省府令のみです。法律は、私たちの代表たる議員が国会で作りますので、法的拘束力を有するのです。)。あくまで参考文例です。しかし、遵守事項が整理され、参考例がふんだんに盛り込まれていますので参照の価値があります。
たとえば、未然防止の項目中に施設・事業所環境整備のポイントが記載され、防犯カメラの説明があります。㋐防犯カメラの導入の検討に当たって、子ども等のプライバシー、保護者の不安、従事者の萎縮(監視されることへの抵抗)などが課題になることがある。そのため、一定のルールを設け、設置目的やルールを関係者に説明し、理解が得られるようにすることが重要と考えられる。㋑撮影したデータは、何か事案が発生したときに検証するために用いることとし、何もなければ映像は見ない・非公開にする・一定期間の後に消去するなどのルールを設けることが考えられる。㋒子どもへの性暴力は、発覚するまでに一定の期間がかかることが多く、証拠保全の観点からは、可能な限り長期間保存することが望ましい。㋓プライバシー保護の観点から撮影が難しい閉鎖的空間(例:トイレ、更衣室)については、その入口にカメラを設置して入退室のみを記録する。㋔防犯カメラは、従事者をトラブルから守ることにつながるという視点で導入している事例がある。参考になります。