こども家庭庁は、一時保護施設の全国統一基準案をつくりました。2024年4月1日から内閣府令として施行される予定です
一般的には、児相には一時保護所が併設されています。長野県内には長野県の管轄する児相が5ヶ所設置されていて、一時保護所は中央児相(所在地は長野市)と松本児相(所在地は松本市)の2ヶ所に併設されています。
児相は、児童虐待や不適切な養育の理由により、子どもを緊急に保護することが児童福祉法で認められています。この制度が一時保護で、子どもが一時的に入所する施設が一時保護所です。国はこれまでにも一時保護所に関するガイドラインを示してきました。もっとも、ガイドラインは指針にすぎませんので、具体的な対応は各自治体に任され、設備や職員数、生活上のルールなどに差がありました。しかしこれでは、子どもの安全の確保などの名目で過度なルールが設けられ、子どもの権利を侵害するおそれがないとはいえないなどと指摘されてきました。そこで、国は統一基準をつくり、2024年度に施行される改正児童福祉法12条の4第3項に基づき2024年3月下旬に内閣府令として公布し、4月1日から施行する予定です。ガイドラインから内閣府令に格上げされることによって、各自治体はその統一基準を誠実に実施する責務を負うことになります。
統一基準案の内容をみてみましょう。まず、名称が一時保護所から一時保護施設に改められました。また、統一基準案は、「児童の国籍、信条、又は社会的身分によって、差別的取扱いをしてはならない。」「正当な理由なく、児童の権利を制限してはならない。」と明記しました。そして、たとえば私物の持ち込みについては、合理的な理由なく持ち込みを禁止することはせず、やむを得ず禁止する場合にはその理由を子どもに説明し理解を得ることが規定されました。また、小学生以上では居室の定員を1人にするよう努める、下着は私物を使用させるか未使用のものを提供する、居室・浴室・トイレは年齢やジェンダーアイデンティティなどに配慮することなども規定されました。職員としては、原則として児童指導員、嘱託医、保育士、看護師、個別対応職員、心理療法担当職員、学習指導員、栄養士及び調理員を置かなければなりません。ただ、自治体によっては職員や予算の不足が深刻で、統一基準案に基づいた対応が全国的にとれるかという課題も見え隠れしています。統一基準案は、≪コチラ≫をクリックしてください。