こども家庭庁の専門委員会公表:2021年度の児童虐待による死亡事例の検証結果
こども家庭庁の専門委員会(正式名称は、児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会。従来は厚労省に置かれていましたが、こども家庭庁の発足に伴い同庁に移管されました。)は、2023年9月7日、2021年4月1日~2022年3月31日までの間に、児童虐待による死亡事例として各都道府県を通じて把握されていた68例(74人)及び重症事例1例の検証結果を公表しました。このような虐待死事例の検証は2005年から毎年行われており、今回の公表は第19次報告となります。
(https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/gyakutai_boushi/hogojirei/19-houkoku/)
それによりますと、心中以外の虐待死は50例(50人)、心中による虐待死は18例(24人)、合計では68例(74人)にのぼりました。
心中以外の虐待死の子どもの年齢を見ると、0歳児が24人で48%を占めました。0歳のうち、月齢0か月児が6人で48%、3歳未満だと31人で62%となります。虐待死と認定された子どもの人数は前年度に比べて3人減りましたが、幼少期の児童がおおぜい死亡しているこれまでの傾向に変化は見られず、依然として深刻な状況が続いています。主な虐待の類型では、身体的虐待によるケースが21人(42%)、ネグレクトによるケースが14人(28%)でした。
専門委員会は、2005年から2023年までの19年間に及ぶ検証結果から、児童虐待死を防ぐために留意すべきポイントとして以下の点を挙げています。レッテル張りは自戒せねばなりませんが、見過ごせないポイントといえます。
・ 妊娠の届出がなされておらず、母子健康手帳が未発行である
・ 妊婦健康診査が未受診である又は受診回数が極端に少ない
・ 関係機関からの連絡を拒否している
・ 予期しない妊娠/計画していない妊娠
・ 医師、助産師の立会いなく自宅等で出産
・ 乳幼児健康診査や就学時の健康診断が未受診、又は予防接種が未接種
・ 精神疾患や抑うつ状態、知的障害などにより自ら適切な支援を求められない
・ 過去に自殺企図がある
・ 養育者がDVの問題を抱えている
・ 子どもの発達等に関する強い不安や悩みを抱えている
・ 家庭として養育能力の不足等がある若年(10代)の妊娠
・ 子どもを保護してほしい等、養育者が自ら相談してくる
・ 虐待が疑われるにもかかわらず養育者が虐待を否定
・ 訪問等をしても子どもに会わせない
・ 多胎児を含む複数人の子どもがいるなど、養育に負担がある
・ 安全でない環境に子どもだけを置いている
・ きょうだいなどによる不適切な養育・監護を放置している
- 施設等への入退所を繰り返している
- 一時保護等の措置を解除し家庭復帰後6か月以内の死亡事案が多い など。