こども家庭庁と文科省:保育所や幼稚園などにおける虐待防止のガイドラインを公表しました

こども家庭庁と文科省は、共同して、2025年8月、「保育所や幼稚園等における虐待の防止及び発生時の対応等に関するガイドライン」の改訂版を作成し、同月29日、関係自治体に通知しました(ガイドラインは≪コチラ≫、通知は≪コチラ≫です。)。

ガイドラインは、2025年4月18日に成立した児童福祉法や学校教育法などの改正を受けて整備されました(改正法は、2025年10月1日施行されます。)。すなわち、それまでは児童養護施設などの職員による虐待を発見したときの通報義務の規定はあったものの、保育所等や幼稚園等の施設には法律上の規定はありませんでした。ところが、これらの職員による虐待が相次ぎました。そこで、改正によって、保育所等や幼稚園等の職員による虐待を受けたと思われる子どもを発見した者に地方自治体への通報義務を課することにしたものです(関連記事は≪コチラ≫です。)。

ガイドラインの対象は、保育所その他の施設(こども家庭庁の所管)と、幼稚園その他の施設(文科省の所管)を含んでいます。それらの施設における虐待への対応をガイドラインに盛り込みました。さらに、通知では、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、児童育成支援拠点事業、児童館における虐待もガイドラインに準じて対応するよう求めています。ガイドラインの体裁は、代表例として保育所のケースを中心にして書かれています。

虐待の類型は、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4つです。これらの虐待が施設の職員によってなされたものを「被措置児童等虐待」と名づけました。これらの虐待を受けたと思われる子どもを発見した者は、速やかに、都道府県又は市町村に通報しなければなりません。通報先は、都道府県の福祉事務所、児童相談所、都道府県児童福祉審議会、市町村など多様です。通報したことを理由にした解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止しています。

虐待と疑われる事案を施設で発見したときには、施設は状況を把握するとともに市町村や都道府県の相談窓口や担当部署に速やかに情報提供・相談し、今後の対応について協議する必要があります。その際に基本となるのが、「隠さない」「嘘をつかない」という誠実な対応である、と述べています。通報を受けた行政庁は、速やかに事実確認を行います。その結果、虐待の防止や子どもの保護のため必要があるときは、施設に対する指導・助言その他の子どもの安全な生活環境を確保するために必要な措置を講じます。