こども家庭庁「春のあんしんネット・新学期一斉行動」:子どもが初めてスマホを手にするときに親子で考えること
春は卒業、進学、進級の季節です。春は、子どもが初めて自分のスマホを手に入れる時期でもあります。スマホは上手に使えば便利なツールです。しかし、長時間利用によって生活リズムを乱したり、他人のプライバシーを侵害したり、誹謗中傷や名誉毀損・侮辱の被害者や加害者になったり、SNSを悪用した誘い出しで犯罪に巻き込まれたり、闇バイトに加担したりするなどのリスクもあります。こうした弊害を防止してスマホやSNSを正しく利用できるよう、こども家庭庁は2025年1月27日、保護者や学校、関係事業者、関係団体に啓発文書を発しました(通知文書は≪コチラA≫、≪コチラB≫です。)。
通知書が掲げる啓発事項は4点です。「①ペアレンタルコントロール(保護者による管理)による対応の推進」「②フィルタリングをはじめとする効果的な技術的手段の利用」「③話し合いによる家庭内ルールづくりの促進」「④インターネットを適切に活用する能力の向上促進」です。
①ペアレンタルコントロール(Parental Control)とは、保護者が子どものスマホの特定のアプリや機能を使えないようにしたり、使用制限を設けたりすることです。アプリの制限・アプリ利用時間の設定・コンテンツとプライバシーの制限・スマホの休止時間の設定・課金の防止などの手段があります。②フィルタリングサービスとは、子どもを違法・有害情報との接触から守り、安心して安全にインターネットを利用する手助けをするサービスです。スマホ事業者はフィルタリングサービスや、子どもの年齢や家庭内ルールに応じて機能をカスタマイズすることを可能とするサービスを提供しています。事前に設定しておくと、子どもがアダルト系やギャンブル系などの有害サイトやコンテンツにアクセスする危険を回避できます。③保護者と子どもの間で、スマホの不適切な利用によるリスクを話し合い、正しい生活習慣づくりやスマホの正しい利用のための家庭内ルールを決めることが大切です。④これからの社会でインターネットはますます拡大していくでしょう。これを適切に利用すれば、便利で豊かな生活に結びつきます。そのために、自分で考え、インターネットによる情報の取捨選択や発信等を適切に行い活用できるようにするリテラシーの能力を身に着け向上させることが重要です。
ところで、通知文書には発信者側の発信についての言及はありません。政府が2024年9月9日に公表した「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画(第6次)」に「青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための施策は、インターネット上の自由な表現活動の確保の観点から、受信者側へのアプローチを原則とする。」ことに由来すると考えられます(関連記事は≪コチラ≫です。)。その当否は別として、そうすると、インターネットの利用者側が対策に努めなければならないことになります。