こども家庭庁⇒文科省:学校事故による災害共済給付、保護者からの申請に学校は適切に対応を
学校事故などで子どもが死傷したときに支払われる災害共済給付(医療費、障害見舞金又は死亡見舞金)をめぐり、保護者らから学校宛に提出された支払請求書を学校が速やかにJSCに送付するよう、こども家庭庁は、2025年9月4日、文科省に通知を出しました(通知は≪コチラ≫です。)。
東京都に本部を置くJSC(独立行政法人日本スポーツ振興センター)は、学校事故などで子どもが死傷したときに災害共済給付を支払う「災害共済給付制度」を運営しています。子どもが授業や学校行事で死傷したり、学校でのいじめを理由に自殺したりした際などに、請求をもとに医療費や最大4000万円の見舞金が給付されます。
請求できる者が、法令で明確に定められています。学校は、共済金の請求権者です。それだけではなく、死傷した子どもの保護者または本人が成人しているときは本人が、学校を経由してJSCに支払請求書を提出することができます。その場合、請求の当否を審査したり支払請求書を差し止めたりする権限は学校にありません。学校は、経由機関として保護者らから提出された支払請求書をJSCにそのまま送付しなければなりません。
しかし、生徒が自殺した学校が責任を問われることを懸念して支払請求書の取り次ぎを拒否したり、制度について保護者に伝えなかったりするなどの例が相次いで確認されたそうです。本年5月には、子どもを自殺で亡くした保護者らが制度の運用の見直しをこども家庭庁に要望し、子どもが死亡した際には、学校が必ず保護者に制度の説明をすることなどを求めていました。
こうしたことを受けて、こども家庭庁は今回の通知を文科省に発出しました。通知には、「学校の設置者に当該請求の可否等を判断し、又は請求内容を審査する権限はないため、学校の設置者が学校の管理下で発生した災害であると認識しているか否かにかかわらず、学校の設置者は、経由機関として保護者等から提出された支払請求書をJSCに送付する義務があるものと解されます。」と明記しています。そして、「学校の設置者が、保護者等から提出された支払請求書をJSCに送付しなかった場合には、保護者等の災害共済給付の給付金の請求を行う権利の侵害に当たる可能性があることから、学校の設置者が保護者等から受領した支払請求書については、速やかに当該請求書をJSCへ送付していただけますようお願い致します。」として迅速な対応を要請しました。これを受けて文科省は全国の教育委員会に適切な対応を求めるべく周知しました。