警察庁公表:2024年に全国の警察が検挙した児童虐待事件は2649件で過去最多

警察庁は、2025年6月5日、「令和6年におけるストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について」の統計を公表しました。ここには、ストーカー事件・配偶者からの暴力事件・私事性的画像に係る事件(いわゆるリベンジポルノ)・児童虐待事件の統計が載っています。以下では配偶者からの暴力と児童虐待を取りあげます(統計は≪コチラ≫です。)。

【配偶者からの暴力】配偶者から暴力・脅迫を受けた被害者の相談の受理件数は増加傾向にあり、2024年は9万4937件と過去最多でした(前年比+6318件、+7.1%)。配偶者からの暴力・脅迫が子どもの面前で行われたときは、面前DVとなり心理的虐待に該当します。

DV防止法に保護命令制度があります。被害者からの申立てにより、裁判所が、相手方配偶者に対し、被害者の身辺へのつきまとい等の行為を禁止する命令(保護命令)を発する制度です。保護命令には接近禁止命令、電話等禁止命令、退去等命令があります。保護命令に違反した者には刑罰が科せられます。こうしたDV防止法上の保護命令違反の検挙件数は、2024年は69件と前年より増加しました(前年比+20件、+40.8%)。

【児童虐待】全国の警察が2024年に児相へ通告した子どもは12万2378人であり、前年より微減となりましたが(前年比-428人、-0.3%)、依然として高い水準にあります。類型別の内訳は、心理的虐待9万0418人(うち、面前DVは5万2737人)、身体的虐待2万1534人、ネグレクト1万0080人、性的虐待346人でした。

児童虐待事件の検挙件数は増加傾向にあり、2024年は2649件と過去最多でした(前年比+264件、+11.1%)。罪名別の内訳は、件数の多い順に、傷害罪1029件、暴行罪984件、不同意わいせつ罪228件、不同意性交等罪162件、暴力行為等処罰法違反50件、殺人未遂罪38件、殺人既遂罪32件、保護責任者遺棄罪28件などでした。これらを類型別に分類すれば、身体的虐待2136件、性的虐待431件、心理的虐待54件、性的虐待28件となります。

児童虐待事件の被害を受けた子どもの数は高い水準で推移しており、2024年は2700人で過去最多でした(前年比+285人、+11.8%)。2024年に死亡した子どもは52人で(前年比+24人、+85.7%)、無理心中及び出産直後のものを除いた子どもは19人でした。

【児相との連携による児童虐待事件(傷害事件)の検挙のケース】「令和6年5月、児童相談所から警察署に、内臓損傷の重傷を負った児童(7歳)が病院に救急搬送された旨の緊急の情報提供がなされた。児童相談所及び検察庁と協議し、三者の代表者による児童からの事情聴取等の結果、養父が児童の腹部を足蹴りするなどの虐待を行っていたことが判明したことから、当該養父を傷害罪で逮捕した。」(司法面接〔代表者聴取〕は≪コチラ≫をご参照ください。)。