日本版DBS法案は「児童対象性暴力防止法案」の名称で通常国会に上程の見通し

日本版DBS法案が整備され、「児童対象性暴力防止法案」の名称で、今次の通常国会に上程される見通しとなりました(関連記事があります。≪コチラ≫をクリックしてください。)。

DBSは、イギリスのDisclosure and Barring Servicer(前歴開示及び前歴者就業制限機構)という公的機関の略称です。性犯罪の有罪判決等の情報を収集する権限を与えられています。イギリスでは、子どもと接する職種の事業者は、就職希望者の承諾を得てDBSに性犯罪歴のチェックを照会し、DBSは有罪判決等の情報を確認して、証明書を就職希望者に送付するとともに、性犯罪歴なしの場合には事業者にも通知する制度が2012年に始まりました。この制度によって、性犯罪歴のある人の就業を未然に防ぐことができるようになりました。

わが国でも性加害行為で処罰された人が、その後に子どもと接する職種に就職して性加害をおこす事例が明るみに出ています。就労者の性犯罪歴をチェックする仕組みがないことに焦点があたりました。こども家庭庁の有識者会議は、2023年9月12日、子どもと接する職種に就職しようとする者については、雇用者は性犯罪歴の有無を政府管理の性犯罪歴システムに照会・確認する制度の導入を提言しました(報告書は、≪コチラ≫をクリックしてください。)。これが日本版DBS制度です。

こども家庭庁は「児童対象性暴力防止法案」をまとめました。柱は、日本版DBSの制度の創設です。対象の職種は、学校や保育所、幼稚園などでは、全ての就職希望者や現就労者について照会・確認の手続を義務づけます。学習塾や放課後児童クラブ、スポーツクラブ、芸能事務所などは制度への参加を任意とし、国から認定された事業者は同様の照会・確認の手続をとる必要があります。照会対象の性犯罪歴は、刑法違反に限らず、盗撮や痴漢のような条例違反も含めます。起訴猶予を含む不起訴処分のケースは対象にしません。対象者は、新規採用者だけではなく、前から雇用している職員にも適用します。職員に性犯罪歴ありと確認されれば、子どもと関わらない部署への配置転換などで対応し、対応ができない場合には解雇することが許容されうるとし、その手続等はガイドラインで示すことにしました。照会に応じる期間は、禁錮刑以上の実刑判決の場合は刑の執行終了から20年間、執行猶予及び罰金刑以下の場合は10年間とします。その他に広く職員に研修等を実施することなども盛り込まれました。

なお、子どもに対する性犯罪を根絶するには、社会が子どもを守る確固とした姿勢を示すことが必要です。それにはジェンダー平等、性教育、再犯防止プログラムの充実、性暴力が起きにくい環境づくりなどを根付かせることも重要ではないでしょうか。

※ なお、不起訴と起訴猶予の違いについては、次回のミニ情報で取り上げます。