国際NGOは、経済的に苦しい世帯の子どもの卒業・新入学の費用を調査しました

国際NGO「公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン」(本部東京都千代田区)は、経済的な困難や生活上の困難がある世帯に対し、中学・高校の入学費用の一部を支給する事業を行っています。中学・高校へ2025年4月進学予定の子どもがいる世帯で同法人に給付金申請をした保護者を対象に「2025年経済的に困難な状況にある世帯への中高入学に関するアンケート調査」を実施しました。この種の調査は2022年から毎年実施し、今年は4回目とのことです。今回は、2025年1月9日~24日までの間、全国の2135人の保護者らから回答を得ました。その調査結果が2025年3月17日に公表されました(公表文書は≪コチラ≫です。)。

卒業・新入学準備のために「どのような費用を用意することが難しいですか」を複数回答可で質問しました。多かった回答は「制服代」「運動着代」「学校用靴代」「学校用カバン代」でした。これらを選択した割合は、3年連続で新中1の方が新高1よりも高い結果となりました。中学では学校指定品の購入を求められることが多く、価格選択の余地がないことが推察されます。同じ質問に対し、2024年と比較して割合が最も増加した費目は「パソコン・タブレット代」でした。新中1で4ポイント、新高1で9ポイント増加しました。

費用の捻出方法を複数回答可で質問しました。6割は「他の生活費を削る」を選択しました。3割は家族・親族・友人・知人からの借入れ、クレジットカードによるキャッシング、銀行・消費者金融などからのカードローンを選択しました。借入れの世帯のうち、借入金額については新高1の58.3%・新中1の27.2%が「11万円以上」を選択しました。返済期間については新高1の59.7%・新中1の41.7%が「1年以上」を選択しました。2024年と比べて、借入金額は5ポイント、返済期間は9ポイント増え、借入金額・返済期間ともに増加傾向にあります。

卒業・新入学にかかる費用について保護者の気持ちや状況を複数回答可で質問しました。「費用を捻出できるかどうか心配だ、気持ちが落ち込むことがある」が最多で、「まわりの家庭と比べて経済的格差を感じる」「入学準備に具体的にいくらくらいかかるのかわからず不安だ」が続きました。

福嶋尚子准教授の講評の一部を要約しました。費用捻出のための借入金額は上昇し、返済期間も1年以上とする世帯が約半数を占めることから、影響は長期にわたって続くことが予想される。入学後も通学費用、教科書・副教材費、修学旅行費など高額な支出が発生するため、返済を滞りなく終えられる家庭ばかりではないだろう。借入れをすれば支払いができている状況と見るのではなく、借入れをしてもなお費用負担が容易ではない状況と見るべきだ。