こども家庭庁通知:保育士のスポットワーク(スキマバイト)が広がっているようですが。

保育士の「スポットワーク(スキマバイト)」が都市部を中心にして少しずつ増えているようです。こども家庭庁は、スポットワークの定義を「短時間かつ単発の就労を内容とする雇用契約の下で働くこと」としています。求人サイトによると、保育士の資格を活かしながら、空いた時間に単発・短時間で働ける新しいスタイルだそうです。子育て中やブランク明けでも無理なく始められ、多様な保育の現場を柔軟に体験でき、副収入も得られるのがメリットとあります。仕事に至るプロセスは、保育所が求人をアプリに掲載すると、保育士が条件に合う案件に応募し、マッチング成立で指定日に出勤するとあります。面接や履歴書不要、即日勤務も可能なため、特に時間に制約がある方に人気です、などとうたわれています。

こうしたスポットワークについて、こども家庭庁は、2025年2月14日、関係自治体に対し、「保育所等におけるスポットワーク(いわゆるスキマバイト)により採用された保育士の取扱いについて(通知)」を発しました(通知は≪コチラ≫です。)。

通知では、スポットワークについて次のように書いています。「こどもを長時間にわたり保育できる常勤保育士であることが原則であり、望ましいこととされていることを踏まえると、スポットワーク(いわゆるスキマバイト)により採用された保育士を最低基準上の保育士定数の一部に充てることは望ましくありません。例えば、スポットワークについて、病気等のやむを得ない事情により当日の欠勤が急遽出た場合に活用すること等は一概に妨げられるものではないものの、こどもとの安定的・継続的な関わりが重要であるという観点からは、保育士について、1~2日程度の短期の雇用を長期かつ継続的に繰り返すことは、保育所等の運営に当たって、望ましくないものと考えています。」

子どもとの安定的で継続的な関わりが重要ですから、原則は常勤保育士です。ただ、通知では、病気等の場合のスポットワーク活用を認めました。また、1~2日程度の短期の雇用を長期かつ継続的に繰り返すのでなければ、スポットワークも容認しました。結局のところ、スポットワークを最低基準上の保育士定数に充てることは望ましくないと言うだけですので、最低基準上の保育士をスポットワークで充てることを国は認めた(違法としない)と理解できます。保育現場での保育士の人材不足を考慮した末の結論と推察されますが、保育の質の低下など保育制度の形骸化をもたらさないよう見守る必要があります。もしも、お子さんが通園している保育所の保育士がしばしば入れ替わるようでしたら、その実情を尋ね本通知の趣旨をお話してみてはどうでしょうか。