こども家庭庁は、「付き添い入院」へ寝具費等を補助する初の方針を打ち出しました

こども家庭庁は、2024年4月12日、入院中の子どもの世話を家族が病室や病院近くに寝泊まりしながら行う「付き添い入院」に関する初の実態調査の結果を公表しました。公的医療保険制度の下では、患者の年齢を問わず、入院中の看護は看護師らが担うものとされています。ですから、家族の付き添いは本来は不要のはずです。しかしながら、小児科や小児病棟を中心に看護師の不足は深刻化しています。とくに、夜間や長期入院に対して十分な看護体制を確保できない医療機関もあります。このような看護師らの人員の不足を背景として、医療機関側からの働きかけにより付き添い入院が広く行われています。ところが、休憩室や食堂などの施設、簡易ベッドなどの物品の貸し出しの不備により家族にしわ寄せがおきています。付き添い入院が長期に及び家族が体調を崩したり、子どもがその病院での医療をあきらめざるを得なかったりする実態のあることが判明しました(報告書は≪コチラ≫、関連記事は≪コチラ≫です。)

こうした家族の負担軽減を狙いとして、こども家庭庁は、2024年度補正予算に関連費用1億9千万円を計上する方針を固めました。都道府県を通じて医療機関に補助を行います。こども家庭庁が具体的な財政支援に乗り出すのは初めてです。新たな補助制度では、家族が仮眠や休憩をとれる専用スペースやシャワールームなどの設置費用として一つの医療機関に750万円を上限に補助します。また、家族が使える物品の購入費では、医療機関の小児病床1床当たり上限を2万円として補助することが含まれています。

しかし、看護師の人手不足を背景とした構造的な問題は依然として深刻です。設備の支援を柱とする今回の予算額では十分ではなく、医療予算を底上げする必要があるという声があがっています。看護師不足や少子化が叫ばれるなか、子どもを優先した医療体制の拡充は、国が先頭にたって力を入れて取り組むべき課題であるといえます。